嫉妬とか独占とか愛情とか

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カチ カチ と自分しか居ない静かな部屋で、時計の音だけが煩く鳴り響く。


何にもする気になれなくて、電気も付けずにソファに座り込む


繋ぎ止めるって何だ？

どうやってやるの。俺はこんなにも面倒くさい性格をしているのに。


自分に素直な恋じゃ駄目だ。欲望のままにいけば康二は確実に俺の元を離れる


ムシャクシャして頭を搔く。




「いや、別に好きじゃねぇし。うん。」




…チャンスだと思った。

康二から真剣な眼差しで"好き"と言われた時。


康二に便乗すれば、このよく分からないモヤモヤした気持ちの答えがわかる気がしていたから。



人の心にズカズカと入り込んで居座って、何回追い出してもまた入ってきて。


そんな御前の事なんて、大嫌いだった



今までせっかく貼っていたバリアを、容易く超えてきて。

涼太にすら入り込ませなかった領域まで足を踏み入れてきて。



何がしたいの？何を思ってるの？


…俺の事が好きだからなの？


御前の言う 好きってどういう気持ち？

こんなにドロドロした汚い感情なの？



康二と付き合って、俺の物にしちゃえば消えると思っていたのに


" 時には素直になって伝えなきゃいけない事もあるよ"



「素直になるって何だよ…どういう事なんだよ、！！」



たった2文字が頭の隅にあるのに、本当は答えなんて簡単なのに


俺はやっぱどうしても、認めたくない。



深い溜息をつけば、スマホを手に取り 通話ボタンを押す



「もしもし」



あぁ、康二だ。康二の声だ


何でそれだけで じんわりと胸が暖かくなるのだろう。

そういう気持ちも、大切にしてあげたいのに なのに俺はまたバレないように



「もう21時過ぎてるけど。まだ目黒と2人でいんの？」



こんなにも冷たい声を出してしまう。

気に食わない

本当に気に食わない


「もう解散したって！」



こんな声を出させたい訳じゃなかった。温かい声で名前を呼んで欲しいだけだった。


「ふーん。ならいいけど。じゃ、気をつけて帰れよ。」


気に食わない。

気に食わない。



この何回も 気に食わないと思う気持ちは、もしかしたら、自分に対して…なの 、？



ぶっきらぼうな己の声に嫌気がさす。


…そばに居させてほしい。このままずっと。


けどそう思っているのは俺だけではなくて。

康二が佐久間を選んだ時、俺は"行かないで"って言える？


…言えない、絶対に。

─キリトリ ─
前の小説の『黒の雪男は愛したい』の5つ目の・に繋がります

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