嫉妬とか独占とか愛情とか

桃の雪男は友達以上にはなれない ページ18

佐久間side




家のリビングのソファに座り、スマホの予定表開けば 中々に予定が入っていて 阿部ちゃんと 2人で会って話を聞いてもらうのは、それスノの収録以降になりそうだった。


…あと何日かはこの何とも言えない、むず痒い気持ちを 1人で抱え込まなきゃいけないのか。

なんて、柄にもなくちょっとネガティブな事を思っていた




ぶーぶーぶー



バイブ音と共に、好きなアニメのテーマソングがスマホから流れる。

それはつまり、電話が来た事を知らせる音で。



こんな遅い時間に珍しいなー と考えながら慌ててスマホに目をやれば


[こーじ]


の名前がそこにはあって。

康二から俺に電話？こんな遅くに？


名前が目に入った瞬間に煩く鳴り響く心臓を押さえ付けて、電話に出る。



「もしも〜し？」


この心臓の音が、貴方に聞こえませんように




「…さっくぅん、！！」

「え、ちょ、康二？？泣いてんの！？どーした？？」



時折嗚咽が聞こえてきて、絞るような声で俺を呼ぶ


「こぉじとりあえず息吸お？今家？」


そう言いながら、鞄に財布などを詰め込んで直ぐに出れる準備をした。


…助けを求めてくれる相手が、他の誰でもなく 俺なのが凄く嬉しい

嬉しいのに。きっとその内容は、俺がそれ以上の関係になる事はないよ と告げられるだろうから。



でも 貴方を誰よりも笑顔に出来るのは、俺だと思ってるよ


__


「こぉじ！！！！」


康二の家に着き、ドアが開いたと思えば 目を真っ赤にして泣き崩れている姿がそこにはあって


咄嗟に抱き締めて、割れ物を扱う様に優しく頭を撫でた



「さっくん、あんなっ… 俺 何でこんなに泣いとるか分からんねんっ…！」

「…うん。」

「色々ぐちゃぐちゃで、1人じゃパンクしそうでっ、！」

「…うん。」



目黒に阿部ちゃんの事を相談されていること。

自分は上手くいってないのにアドバイスしている事に虫唾が走った事。

目黒の真っ直ぐさが羨ましくて、愛されている阿部ちゃんが羨ましくて眩しかった事。

…そして



「……でもな、やっぱり しょったが大好きやねんっ…！」



それでも翔太の事が大好きだという事を、不器用にしっかりと自分の言葉で伝えてくてた。




もしも、俺が翔太だったら…



もっと優しくできるのに


泣かせたりなんかしないのに


寂しい思いもさせないのに


何が足りないの？


何が負けてるの？














この世で1番康二のこと、想っているのにな

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