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重い体を起こして、翔太君の家を出て。
今日の仕事なんやっけ とスマホを開けば めめからメッセージがはいっとった
めぐろ今日の夜、康二の家行ってもいい?
今日の夜か。
一人で居ると余計な事ばかり考えてしまうから、来てくれるのは有難い。
…内容は何となくわかっとるけどね。
こーじええよ。待っとるね
それだけ打てば、痛む腰を抑えながら仕事に向かった。
_
夜になって俺の家にめめが来て。
「…一昨日の夜の事、なんだけどさ」
俺の予想した通り、阿部ちゃんとの事についての悩みをうち明けてくれた。
「…じゃあつまり、煽ってきた阿部ちゃんとキスしていい感じやと思っとったのに、偶然佐久間君から連絡が来とるのが見えたから、堪らなくなって逃げてきた。って事で合っとる?」
「…まぁ、そんな感じ。」
うーんと、その日は俺 さっくん家に泊まったから、そのメッセージを送ったとしたら俺が寝た後かな。
全然切羽詰まった様子は見られんかったけど、もしかしたら俺が落ち込んでたのを 明るくする為に、無理に頑張ってたかもしれへん。
「多分佐久間君、阿部君に告白するんじゃないかなって。そう思っちゃってさ」
そう俯いて苦しそうに話すめめに、" やっぱ恋なんてするもんじゃないよね " なんて投げかけたくなったけど、それは余りにも残酷すぎてやめた。
「まだたくま君が告白するって決まった訳ちゃうやん?それに、答えを決めるのは阿部ちゃんやん。」
「うん…そうなんだけどさ」
「でもなぁめめ、1つ言えるのは、伝えられる時に伝えた方がええでってこと」
特大ブーメラン。突き刺さってるわほんま。
今となっては、どんだけ翔太君に『好き』と伝えたって、自分の胸の中にある 10%も伝わらへん。
距離が近くなった筈なのに、心はお互い違う方を向いている。
「それってどういう…」
「言えない状況になってから後悔しても遅いでって。どんなに苦しくても伝えちゃダメで、なのに感情は溢れて止まらない。そんなん辛いやろ??」
…ほんまに、苦しくて辛くて吐きそうで。
でも止めれないし気持ちは加速するだけ。
縮まることの無い距離が、とても眩しくて目を瞑った。
「あんな?この世の中は嘘で塗れてて、何にも信じられへんかもしらんけど、自分の気持ちだけはこの世で唯一の真実やで。」
自分に言い聞かせる。何度も何度も。
─ キリトリ ─
前の小説『黒の雪男は守りたい』に繋がります
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ぷっちとまぁと(プロフ) - しょっぴー…口ついてるんやから、その美声で語りなさいよ( ; ; )読んでて胸痛いよ…しょっぴぃぃいい!!!でも、さっくんにも幸せになってほしい…(T . T) (9月4日 2時) (レス) @page47 id: 1fbb4a66fd (このIDを非表示/違反報告)
ふうり(プロフ) - たかシゲさん» そうなんですか!?めちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます☺️こちらからするとその気持ちをそのまま康二に言えばいいんじゃ、、?と思うところもあって、もどかしいですよね💦どうかこれからもよろしくお願いします! (8月9日 1時) (レス) id: 99474a6beb (このIDを非表示/違反報告)
たかシゲ(プロフ) - 初コメント失礼致します!普段あまりコメントしないのですが思わず手が動いてしまうほど良いお話すぎて...どストレートなめめと不器用すぎるしょぴが切なすぎて🥺続きが本当に気になってしょうがないです!!更新頑張ってください!応援してます!! (7月14日 14時) (レス) id: 424c308bc6 (このIDを非表示/違反報告)
ふうり(プロフ) - KSさん» もしかして…更新停止する前からですかね!?ほんとすれ違いすぎて書いてて胸が痛いです、笑 ぜひこれからもこの作品をよろしくお願いします!!コメントありがとうございます!めちゃくちゃ励みになりました (6月22日 21時) (レス) id: 301f678093 (このIDを非表示/違反報告)
KS(プロフ) - 初めまして^^随分前から読ませて頂いております!こじ寄りのなべこじ担です。なんとも切ない展開に頭を抱えているのですが…(笑)2人には遠回りになっても幸せになってもらいたいと切実に願うばかりです(;_;)♡今後のどうなっていくのか楽しみにしております☻ (6月22日 2時) (レス) @page40 id: 870f64adfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふうり | 作成日時:2022年7月30日 20時