縁日の約束【次元大介】 (ページ20)

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弐拾ページ20

「……良かったのか？まだゆっくりしなくて」

空港で顔を会わせるなり、ルパンは眉を潜めながらそう言う

「あぁ

『男は稼いでなんぼさっさと行ってこい』って言われたよ」

「そりゃ、頼もしいこって」

「全くだ」

そのまま登場手続きをして、飛行機に乗り込むと飛び立つ前にとタバコの箱に手をのばす

「……ん？」

カサリと音がして、ポケットから取り出すと
ぎゅうぎゅうに飴が詰められたタバコの箱が出てきた

"少しは禁煙しなさい
これ以上苦くなるようなら
キスしてやらないから"

「これはこれは…

案外お前さんよりも泥棒に向いてるかもな？」

箱の側面に書かれたメモを見ながらルパンは笑って席をたつ

「……あぁ、全くだ」

たった31文字で俺の喫煙衝動まで取り上げるA

「本当に…… 大した女だよ、お前さんは」

……

…………

『大介、もういいって』

『俺が取ってやるって約束した…』

何度やっても取れない玩具の指輪

半泣きの俺の手を取ると
Aは力強くその手を握った

『まだいらない！

その代わり、
大人になったら本物の指輪を頂戴？』

『本物……？』

『そう!!
ピンクのハートの指輪が良いな
世界で一つだけの指輪

それを持ってｱﾀｼをお嫁さんにしてね！』

…………

……

携帯を取り出して、一番上のメールを開く

送信者:A
本文:
いってらっしゃいいつでも帰ってきてね

[添付ファイル]

記者会見のように手の甲を掲げるA

ほんのり化粧をして、白無垢に身を包んだ姿はいつにも増して輝いていた

「……いってくる」

そっと呟くと
画面上で微笑むAがより一層笑った気がした

チカッと太陽光が差し込んで画面を照らし出す

その薬指には世界でたった一つ
ハートのピンクサファイアの指輪がキラリと光るのだった＿…

── 終 ──

モンキー・パンチ様
重ね重ね
次元を産んでくれてありがとうございました