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夜も更け
二人の御膳にも空になったとっくりが転がる頃

Aはのびをしながら、大きなあくびをした



「テメェ、客の前であくびたァ良い度胸してんなァ?」




『残念でした

あくびするのも、こんな格好で相手するのも実弥だけですぅ』




ベーっと舌を出して笑うAに、ほろ酔い気分の実弥もまた小さく微笑んだ




『……』



「……なんだァ?」



『実弥、いつもそうやって笑っとけば
女の子の一人や二人簡単に寄ってくるのに』



「寄って来られてどうすんだよ?」



『そりゃ……

据え膳食わねばなんとやら…?』





そう言いながらAは寝巻きの裾を上げると、町中の男が喉から手が出るほど望む美しく引き締まった太腿をチラリと見せた




「……」



露になった太腿に視線を向けると、実弥はゆっくりと立ち上がりAに一歩近付いた




『実弥…』



少し熱を持った瞳で実弥を見上げると、Aは両手を上に掲げた

そんなAに、やれやれと実弥は腰を下ろしすくいあげるようにAを優しく抱き上げる

そのまま隣の部屋の大きな布団の中央までいくと、Aを持った両手を離した




『アイタッ!!』



ボスンと布団に落とされたAは、すぐさま起き上がると頬を膨らませて実弥を睨んだ




「……さっさと寝るぞ」




Aの視線に気付いた実弥は、そう言うと先程の部屋に戻り勝手に押し入れを開けると、普段 Aが使っている布団を取り出し 部屋にしいた





『一緒に寝ようよぉ』



「お前、昔から寝相悪いだろ」



『町一番の花魁と一緒に寝れるんだよぉ?』



「その言葉は少しでも花魁らしくしてから言うんだな」





淡々と寝る準備をする実弥は、最後にAが寝る部屋との襖を閉めながら念を押すように言った




「いつも言ってるが……」



『"この襖を開けたら叩っ斬るからなァ?"

でしょ?』




髪をすき直しながらAは実弥の声真似をして答えると、襖が完全に閉まり、向こうから実弥の声だけが聞こえてきた





「俺が来てる時くらいゆっくり休め、馬鹿」





その声にAはすいていた櫛を放り投げると、布団に飛び込むように顔を埋め、実弥に聞こえないように小さく呟いた






『……いい加減アタシの気持ちに気付いてよ

大馬鹿』

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紅葉(プロフ) - 好き←愛しきれないくらい愛しても愛しきれないくらい愛しても愛しきれないくらいすき。←←なにいってんだコイツ (2020年7月7日 0時) (レス) id: 777c44a6f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青乱雲 | 作成日時:2019年10月16日 3時

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