検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:2,378 hit

3 ページ3

『……あ、ここ 傷また増えてる』



実弥の前髪をかき揚げると、Aはそっと傷の周りに触れた


「触んな」


不機嫌そうな声でそう言うと、実弥は雑にAの手を払いのけた

そんな実弥にやれやれと小さいため息をつくと、Aは立ち上がり 部屋の奥にある化粧鏡から小さな容器を取り出して 再び実弥の横に座った




『ほい!』


「は?」


『ひ・ざ・ま・く・ら!』




ペシペシと自分の膝を叩きながらそう言うと、Aは容器の蓋を外し 中のクリームを指ですくいとった




『傷痕が目立たなくなるって』



「胡散臭ェ」



『良いから早く!』




Aの勢いに実弥は嫌々体を横にすると、ゆっくりとその頭をAの膝に預ける





『他に怪我した所は?』



「んな場所、いちいち確認すっかよ」



『着てるもの全部剥いて、全身調べても良いけど?』





Aの言葉にギョッとした顔をすると、実弥は不満気に横を向きながら答えた




「今回はそれくらいだ」



『そう

……良かった』




心の底から安心したように、ほっと胸を撫で下ろすA

そんな表情を横目で見ると、実弥は「フンッ」と再び小さく鼻をならして片手をAの頬に伸ばした




「テメェこそ、無茶してねぇだろォな?」



『おかげさまで

花魁は好き勝手できるんです』



「そーかよ」





そう言って実弥は、袖の下に隠しておいた飴玉を取り出すとAの口に突っ込んだ




『ムガッ!?』




禿(ガキ)に飯を分けてやるのは勝手だが、ちゃんとテメェも食っとけ」





じんわりと口の中に広がる飴玉の甘味にAは微笑みながら小さく頷いた

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.4/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅葉(プロフ) - 好き←愛しきれないくらい愛しても愛しきれないくらい愛しても愛しきれないくらいすき。←←なにいってんだコイツ (2020年7月7日 0時) (レス) id: 777c44a6f7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:青乱雲 | 作成日時:2019年10月16日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。