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「……ぃ」
「……ぉい」
「オォ"イ」
ぼやける頭にだんだんと大きく響き渡る懐かしい声
苛立ちを隠しきれてない怒声にゆっくりと上体を起こすと、目を擦りながら挨拶をした
『ん、おはよぉ さねみぃ』
「テメェ、どれほど寝れば気がすむんだァ?」
おやおや、外は既に真っ暗
部屋中に散らばった酒瓶も無くなっている所から見ると、先に起きた実弥が掃除をしてくれたのだろう
昨夜着ていた隊服とは違う 簡素な寝間着に実弥が継子に来たときの事を思い出して思わず微笑んだ
「締まりのねェ顔だ まだ酔っぱらってんのか」
『相変わらず、師匠に向かって大層な話し方だなぁ 実弥は』
「俺はテメェの事を師匠だなんて思った事は一度もねェ
そもそも、テメェが柱を辞めたいが為に俺を利用したんだろうが」
ガンガンと容赦なく浴びせられる言葉は二日酔いの頭には耐え難いものだ
「わかった、わかった」と両手を上げて降参の意を示すと、大きく伸びをしながら実弥に問いかけた
『ねぇ、お風呂は?』
「とっくの昔に沸かしてる」
『え、なら冷めてるんじゃ…』
「テメェを起こしに来る前に沸かし直してるに決まってんだろ」
うん、長いこと会ってなかったけど やっぱり実弥は実弥だ
見た目に反して器量の良い実弥は、口は悪いものの非常に出来た継子であることは間違いなかった
『あ、えーっと……
昨日は話も聞かずに出迎え酒して寝ちゃったけど、また修行し直したいんだっけ?』
「違ェ…
……チッ、先にその酒臭ェ体臭どうにかしてこい」
『はいはーい』
仮にも師匠であるアタシに向かって顎で命令する実弥
──というか、あんな言い方しないで『お湯がぬるくなる前にお風呂に入っておいで』って言えばよいのに…
そんな可愛くない弟子の横を通りすぎると、アタシはお風呂に向かって歩いていった
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作者名:茶柱 | 作成日時:2019年12月9日 3時