不死川 実弥という男 ページ7
「まさか湯呑みまで買っててくれるとは思ってなかったけどね」
昔の記憶を懐かしがりながら話すAの前で、実弥は肩をプルプルと震わせて聞いていた
「だから
『実弥は言い方は悪いけど、実は優しくて頼りになる 少し人付き合いが下手な不器用な男だよ』
なんて言ったら怒るでしょ?」
「んなこと言ったら、その口
一生何も食えねぇ口にしてやる」
そう言う実弥の脅しにも「えー、ヤダー」と軽くあしらって
Aは最後のおはぎを取って口元まで持っていくと、ピタリとその手を止めた
「あ? どうした?」
「……
実弥、はい アーン」
ずいっと前屈みになりながら実弥の口元におはぎを持っていくA
そんなAに呆れ顔の実弥は、若干引き気味にAを見ると 残りのお茶を飲み干し立ち上がった
「もぅ!
実弥の為に作ったから最後はあげようと思ったのに」
実弥を見上げながらAは頬を脹らませると、その顔を見下ろしながら実弥は大きくため息をついた
「もう充分食った
最後はお前が食え」
そう言って実弥は手を伸ばし、Aの口元についたあんこを指ですくうと、そのまま自身の口元に持っていった
「ご馳走さん」
「後で包帯巻き直すから、手を洗って来いよ」と言い残して部屋を出ていくと、Aはやれやれと残りのおはぎを食べてため息をついた
「本当、不器用で
……鈍感」
そう呟くと、Aは綺麗な花が描かれた真っ赤な湯呑みを大事そうに持ち上げるのだった
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ひとみちゃんDX(プロフ) - これはよいさねみん…続き楽しみにしてます! (2019年12月11日 22時) (レス) id: 5ff73dd6cb (このIDを非表示/違反報告)
もち - すっごい好き。え、最高 (2019年12月5日 4時) (レス) id: 0050a4580a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:南無 | 作成日時:2019年10月8日 21時