おはぎのように甘い【不死川実弥】 (ページ4)

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嘘つき女ページ4

「テメェの舌は何枚なんだ？」

おはぎを頬張りながら
不死川もとい、実弥はAの顔を見てそう言った

「へ？一枚に決まってるでしょ

どうしたの、実弥
今回の闘いで頭でも打った？」

心底心配しているAに、実弥は青筋を立てながら睨み付けた

「そう言う意味じゃねぇよ

お前は嘘しか吐けないのかって事だ」

実弥の言葉に「なぁんだ」と息を吐くと、Aはのんびりお茶をすすった

「なぁにが継子で世話役だ？」

「え、そこから聞いてたの？」

「テメェの呼吸は"暴食の呼吸" だろうが」

「まあまあ」

「で？誰が世話役だって？

毎朝寝坊して起こされるのはどこのどいつだ？
ぶきっちょなテメェの髪を結うのも、包帯巻くのも誰がやってると思ってんだ？」

「まあまあまあ」

「おさえて、おさえて」と片手をヒラヒラさせて実弥を落ち着かせると、Aは少しも悪びれた様子もなくおはぎに手を伸ばした

その手をガシッと実弥が掴むと、Aは面倒臭そうに左手を伸ばしておはぎを一口で頬張る

そして、あんこのついた包帯を見て、やれやれと小さくため息をつくと
Aは丁寧に巻かれた包帯をゆっくりとほどきながら言った

「もぉ～、実弥が巻き直してよ？」

半分以上ほどかれた包帯は、そのままシュルシュルと重力に引っ張られながら落ちていく

白い肩から伸びる細い腕

その腕の丁度肘の位置から痛々しい縫合傷と肩から伸びる腕とは全く違う手が姿を現した

所々傷のついた腕と鋭く尖った爪

「で？それのどこが古傷だって？」

「別にそこは嘘ついてないよ？

闘って、腕切られて、代わりに鬼の腕繋いでるってだけだし」

縫合後を指差しながらそう答えると、Aはさりげなく左手を日光の当たらない方向に向けた

そんなAに実弥が小さく舌打ちをすると、Aは不満気に頬を膨らませながら実弥を睨んだ

「それに、本当の事言うと実弥怒るでしょ？」

「は？」

突然のカウンターに口をつけた湯飲みを外す実弥

何の事を言っているのかわからない実弥にAは少し面白そうに微笑むとおはぎをもう一つ手に取りながら、ゆっくりと話していった＿＿