おはぎのように甘い【不死川実弥】 (ページ1)

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苦手な相手ページ1

炭治郎は迷っていた

尊敬する柱と言えども
大切な禰豆子を傷つけ、鬼として扱った本人に果たして落ち着いて話が出来るのかと

そもそもの発端は伊之助だった

いつもながら窓ガラスを割って登場した伊之助

たまたま外を散歩していた炭治郎は、伊之助が割ったガラスの近くでのびているカラスを見つけた

「困りましたね、怪我をさせてしまいました」

翼に包帯を巻きながら困ったように眉を下げるしのぶ

そんなしのぶに、炭治郎はいつもの治療のお礼と自分が代わりに謝罪に行くと申し出た

困ったような、それでいて迷った表情のしのぶの顔が思い出される

怪我をしたカラスの主人を聞いた後で、炭治郎は少なからず後悔をした

一応、万が一をかねて禰豆子は蝶屋敷でみてもらっていたがそれでも、言い様のない不安に炭治郎は屋敷の前で足踏みをしていた

「迷っていても仕方がない！」

自身を鼓舞するように呟くと、大きく息を吸って吐き出す

「ごめんくださーい!!」

「はぁ～い」

自分の呼び掛けに応える若い女性の声

炭治郎は思わず屋敷を間違えたかとしのぶにもらった地図を見たが、どう考えても不死川の屋敷だった

ドタドタとけたたましく床を走る音が聞こえてくると、扉が勢い良く開き中から一人の女性が現れた

「はぁ～い

って、アレ？君、だれ？」

しのぶと同い年かそれより少し下に見える女性に炭治郎は思わず見惚れてしまった

月色にきらめく長い髪をまとめたその女性は、包帯を巻いた左手で解れた横髪を耳にかけながら優しく微笑んでいた