警視庁捜査一課 ▼第3係▼ ２

表 ページ8

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真相に気付いた敬浩の衝撃は会議室の壁をぶち壊し椅子ごと100mくらい後ろに飛んでいくほど。



──勿論、パラレル。



実際は背もたれに仰け反るくらいで、隣りに座る哲也はしっかり女の名前を叫び終えた刑事部長に頭を抱える。



……はぁ〜！ 会議中だっつーの…！！



橘すら彼の支持低迷に同情していた。







──それは数時間前





ラボから戻った広臣の報告に亜子はこう言った。



「裏の裏！いわゆる“表”と言うやつですね！」



それはもう瞳を輝かせて。うな重を前にした少年探偵団の10円ハゲさながらだ。



理解出来ない一同に広臣が説明する。



「“盗らない”を前提に“表”と考えてるんすよ」



並外れた感性に他の団員はついて来れていない。


そうだろな……



盗らない(表)─盗る(裏)─盗らない(表)



盗むことが表である盗人に、その逆は当てはめるに足らない。


けれどそれは真太郎と同じ見解だった。それに驚く広臣だったが───





ぷくぅ〜と膨れる亜子。



ほら、刑事部長もこう言ってる…
お前がおかしいんだ



広臣の綺麗な顔がみるみる意地悪な微笑みに変わる。




亜子のふくれっ面。
敬浩は可愛く思うが…それが広臣から自分に向けられ、反らされた時には────








愕然とする敬浩に



「──また、印が増えている事に意図があるとすれば、犯行はまだ続く可能性があるとの事です」




肝心なことなど微塵も聞こえていなかった。








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会議が終わると亜子はある人物らの元まで急ぐ。





廊下を歩く2人の背中に声をかけた。



「──あのっ！」



それに振り向いたのは5係の若手─町田啓太と白濱亜嵐。





亜子が自己紹介を済ませると啓太が手を差し出す。



「はじめまして、町田です」



ニコッと笑う彼には余分なぜい肉を分けてあげたいと亜子は思う。




そして亜嵐はと言うと完全に亜子を睨んでいた。



「…………」



無視？！


レンズ越しにもハッキリ分かる冷たい視線。







─────亜子は思う。



食った食わないは嫌だけど……
私、3係で良かったかもしれない！！！



どこまでも薄情な奴なのだ。







「───どうした」



2人の間から現れた青柳は亜子に気付くとその姿をまっすぐ見つめ、



「先行ってろ」



そう言って啓太と亜嵐を従業員の元へと急がせた。





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