警視庁捜査一課 ▼第3係▼ ２

教育係りの裏表 ページ21

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味を占めて犯行がエスカレートしたか？────




隆二の心情は、それだけ真太郎を信頼していて、更に立て続けて起こるこの事件に焦りを感じている証拠だった。






亜子も真太郎の分析に違和感を感じていたが、今はそれよりも目の前の隆二の様子が気になった。




…たまに天然だし
じろさんと一緒になっていっつもヘラヘラしてて…


かと思えば
何もかも見透かしたように笑ったり……




あの笑顔の奥で、実は色々抱えてたりするのかなぁ……







漠然としない教育係りのミステリアスな雰囲気に亜子は少しだけ顔を歪める。







本心はどうなのか、どうも解らない………







そんなことを考えていると




「あーっ！！！」




急に隆二が声を上げる。




「亜子！俺のアイマスク持ってこいって言ったろー！」




しょうもない事でこの世の終わりみたいな顔をする隆二。




自分が思っている以上に彼は単純なのかもしれない……




そう思い直すのだった──。





「あのカエルのやつですか？
もうっ 持ってきましたよ！」




口を尖らせ、後部座席の足元を指差す。
隆二がゴソゴソと亜子の荷物からそれを取り出した。




「あ、柔軟剤のイイ香り♡」




ご満悦のようだ。



だがその表情は目元だけカエルになっていて隣りの亜子には不気味以外の何ものでもない。





彼はわざわざ亜子のいる宿直部屋へとやって来て「よろしくっ！」とそれを放り投げ、女性警官の黄色い悲鳴を背に去って行ったのだ。





【男性立ち入り禁止】





そんな張り紙など隆二とそこにいる女どもには関係なかった。



それを任される頻度はお茶汲みよりも少ない。



とはいえ、自身には必要性が皆無なそれが鬱陶しくなり、反抗の意味でどこかの知らない宿直おやじの汗拭きタオルと一緒の水に浸したことを隆二には黙っておくことにする。







「カエルお好きなんですか？」




アイマスクの他に隆二のデスクにはカエルの置物が置かれていた。




「あれ薬局のですよね？懐かしいなぁ」




その中のひとつ。頑張ったご褒美にと渡されるカエルのマスコットを思い出す亜子。


しかし、隆二から返ってきた言葉は実に霊的なものだった──。







「なんか気付いたら増えてんだよ……
……俺、見張られてんのかな？」







「………」




ゾクッ




なにを言ってるんだ…
そりゃあなたが置いてるんだから
見張られるでしょうよ…！！！





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