警視庁捜査一課 ▼第3係▼ ２

橘さんの 行く道には 死体が転がっている ページ3

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それは会議室の空気が尋常じゃないほど重たいということ。


今回の事件が連続殺人へと発展したからだ。







事件の残虐性からマスコミはこぞって取り上げ、書き立てた。

その勢いのまま解決どころか被害を拡大させてしまっている───。








1件目の管轄署内に設置された特別捜査本部には警視庁から指令を受けた捜査員と所轄の捜査員たちが幹部の到着を待ちわびていた。






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会議室の扉が開くと、皆が一斉に立ち上がる。



抜群のスタイルと個性に秀でたファッションで颯爽と現れる敬浩たち。



“自分たちは宿直部屋で替えのシャツすら
気にしなくてはならないのに……”



そんな考えもおこがましいほどその姿はとても絵になっていた。







その反面、彼らの険しい顔付きに捜査員たちは現状の厳しさを思い知る。







苦い顔をしてあえてターゲットから目線を外す敬浩は、署長に正してもらった襟元を再度引き締めた。



“ヤツ”が一課長に釘付けだとも知らずに───






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捜査員たちは彼らが正面に揃うと哲也の号令とともに息の合った敬礼を向ける。


真剣な顔付きで捜査員を見渡す橘。



さすが……現場から登り詰めただけあるな……



亜子はその勇ましい貫禄に惚れ惚れしていた。






警視庁の捜査一課長と言えば、ノンキャリアの叩き上げ刑事がその役に就くのが慣例だ。

若くしてその地位を築けたのには勿論、昇任試験を突破してきたからだけではない。






橘の行く先では、なぜか高い確率で殺人事件が起こるのだ。






第一発見者とあらば初動捜査の円滑さは群を抜き、その不幸をも出世に変えるタフさが買われ今の地位へと登り詰めた。






……きっと計り知れない努力があったんだろう



結果的に皆から幸運の持ち主だと崇められる橘だが、亜子にはその過程は容易ではないと感じる。









「──では、今回の事件について1件目からお願いします」



一端の刑事にも品のある哲也の口調。
同じように目で合図を送る橘。



なんて素敵なバディなんだ……！



旧友である2人を見つめる亜子の方もまた、見せ場を探す敬浩になど気付く筈もない───





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