警視庁捜査一課 ▼第3係▼ ２

尾行 ページ16

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八重歯を見せて笑う彼に隆二は言う。




「あんまり詳しくなりすぎて、普段から発揮しないように気を付けてくださいね」




ニコッと笑って忠告する彼は確実に真太郎の影を重ねている。




「ちょっと隆二さん！」




人の夢を壊すみたいに……


亜子はすかさず止めに入った。




聴取を終えると、後日もう1人にも話を聞きに来ると告げ相談所を後にした──。








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───
商店街
───




吉瀬を尾行する啓太と亜嵐。




自販機のみならず、女性や子どもにまで当たり散らす吉瀬を追って2日が経った。




亜嵐は細い路地にある木箱に腰を下ろすと天を仰ぐ。




「はあ〜 こっちまで無能になりそっ。

施設の奴らが怪しいって、啓太くんもそう思いません？なのになんで俺らがこっちなんだよ！あんの色ボケ刑事部長！」




亜子に先に手柄を取られる。亜嵐にとってそれだけは避けたかった。




啓太は吉瀬に目線を向けたまま答える。




「部長はわざと一課長と張り合って捜査員の士気を高めてるんだ、計算だよ。

でなきゃあんな女性のお尻しか追いかけないような人が刑事部長になれる訳ないだろ？」



「………」




丁寧な言い回しだけど…
何気に俺よりひどい……



亜嵐にはたまにそのレンズの奥が怖くなる時がある──。




ベンチに寝転ぶ吉瀬。




「事が大きくなる前に、僕たちに出来ることがあるかもしれないだろ？」




そう諭す啓太は“先輩刑事の威厳”と言うより、お漏らし園児を見つけた時の先生のような穏やかさがある。



ひまわりのワッペンがついたエプロン姿の彼は



「あちゃー！たかひろくん、つぎはじょうずにできるもんね？」──身内のことなら大抵は許してくれそうだ。



しかし、“しらはませんせい”は違う。



何故か教室に置いてある木箱に座り、太ももに片脚を乗せると不満そうに頬杖をつく。



「誰のせいだ？─お前だな」──きっと意中の子がいる前でお布団を干させるのだろう───。







亜嵐がため息を吐くのと同時に吉瀬が立ち上がった。




「動いた！行こう」




啓太の声に亜嵐も立ち上がり尾行が再開された。







だらしない姿に視線を向ける通行人を威嚇する吉瀬の姿は、もはや見慣れた光景だ。




商店街を抜け、人目を気にして抜けたその一画に啓太たちは心当たりがあった。




2人は予想だにして、出来れば避けたかったこの展開に目を合わせると、ある人物へと電話をかけた。






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