警視庁捜査一課 ▼第3係▼ ２

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施設長にその相談所について尋ねると2人は驚いた。




阿谷の息子 航が暮らす施設も同じ管轄だったのだ───




すぐに直人に報告の上、更に聴取を進める。






───そして何人目かのその時。




遠くから女の子の泣き声が聞こえる。



それは先ほど施設長が指した方向。




事務の人間と入れ替わりで聴取を受けに来た職員が言う。




「お母様のこと、亡くなられたことだけ話したみたいなんです」


「えっ…？」
「っ…！？」



あまりに早い宣告に動揺の色を隠せない2人。職員はそれを察したのか付け加える。



「奇しくも仁田さん……明日咲希ちゃんを迎えに来る予定だったんです……」



その言葉に亜子は愕然としながらも仁田の現場を思い返していた───






現場に散乱していた花や花瓶。


自室には花に関する本が置かれていたこともあり、店を飾ることには熱心だったのだろうと亜子は思っていた。


酒の染みが付いたくしゃくしゃの似顔絵を見つけただけにそれは複雑なものだった。






しかし、今考えてみれば───






咲希が描いたであろうその絵には、笑顔のふたりがたくさんの花に囲まれていて。




仁田はその絵のように色とりどりの花と一緒にやり直そうとしてたのか……




亜子はあの染みさえ仁田が故意に付けたのではないと踏む。



犯人ともみ合いになったのではないか…──真相は解らない。









泣き声は2人が聴取を終え退出するまで微かに聞こえ続けた。





“1日で全てが変わる”





その辛さが亜子にも分かる故、いつも通りの聴取とは行かず全くもって身が入らなかった。





「───あの、」



ようやく意識を向けられたのは、靴を履き替えている時。隆二の一言からだった。




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