聴取 ページ11
.
───
施設
───
門をくぐり職員に事情を話せば、すぐに施設長を呼んでくると一室へと通された。
すると外から男の子の冷やかす声が──。
“ダッセー！ 届かないんだー！”
何事かと2人が目を向ける。
「俺が最初に使おうと思ってたんだぞ！」
「こっちくんな泣き虫ィー！」
あまり広いとは言えない園庭で男の子3人が女の子からボールを奪っている。
それに気付いた隆二は入り口へと向かう。
「───おい！」
頭上にあるドア枠に手を掛けるとドスの効いた声を発す。煽り慣れた声量はそこにいる男の子のみならず、女の子や亜子もビクッと肩を上げるほど。
「そんなんしてっと痛え目遭うぞ〜〜」
わざとらしく声の強弱を付けると、悪戯っぽく笑ってみせた。気分は節分の鬼役だろうか──。
厄介そうな顔をする男の子たちは充分に距離を取ると
「うるせぇジジィ！」
捨て台詞とボールを放って去っていく。
「ジジィ？！…ったく捻くれてんなー！」
傷心気味にボールを取りに行く隆二。
女の子に近付くと、その子は首を傾げて隆二を見上げている。
この子が2件目被害者の子ども──咲希だ。
眉毛を下げ隆二を見つめている。
うん！ ジジィだなっ！
目の前のミニチュアのような女の子に隆二はすぐに現実を受け入れた。
咲希は隆二からボールを受け取ると丁度出て来た職員の後ろにピタリと隠れる。
そんな姿に亜子は、背丈は勿論、4才とは歩き方までこんなにおぼつかないのかと驚いていた。
一緒にやって来た施設長に挨拶を済ませると、室内へ戻り状況を説明する。
「仁田 咲希ちゃんは〜……」
あ、あったあった！
眼鏡を持ち上げ資料を読み上げる施設長。
「ここに来たのは1年程前ですね。
あ〜そうだそうだ。この頃足が折れていて、みんなと遊ぶこともままならない状態だったんですよ」
「「だからか…！」」
「「えっ？」」
隆二と亜子の声が重なる。
お互い疑問符を浮かべていると、同じように首を傾げていた施設長に隆二が説明する。
「いや、だからさっき……男の子たちに意地悪されてたんすよ」
それに肩を落とす施設長。
どうやら彼女が馴染めていない事に心当たりがあるようだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 264人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
you＆i(プロフ) - TRIBE+E-girlsLOVE @Sisterさん» 長らくぶりです( ´ ▽ ` ) ひるなか！それです！スッキリ〜！ (2017年11月22日 0時) (
レス) id: e7d1acb725 (このIDを非表示/違反報告)
TRIBE+E-girlsLOVE @Sister - 亜嵐が出てた映画って確か永野芽衣ちゃんが主演の『ひるなかの流星』だった気がするけど？ (2017年10月26日 19時) (レス) id: 53026d57c3 (このIDを非表示/違反報告)
you＆i(プロフ) - TRIBE+E-girlsLOVE @Sisterさん» 捜査かき乱しますね〜(笑) きっと習字の腕だけで上り詰めたんでしょう(笑) (2017年10月25日 19時) (レス) id: e7d1acb725 (このIDを非表示/違反報告)
TRIBE+E-girlsLOVE @Sister - TAKAHIRO くん哲也の話はちゃんと聞こうよwww (2017年10月23日 19時) (レス) id: 53026d57c3 (このIDを非表示/違反報告)
you＆i(プロフ) - TRIBE+E-girlsLOVE @Sisterさん» いつもありがとうございます(*ﾉﾉ) TAKAHIROとケンチ 板挟みにされる管理官(笑) 頭を抱える姿もきっと素敵でしょうね(*ﾉﾉ) (2017年10月22日 0時) (レス) id: e7d1acb725 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：you＆i | 作成日時：2017年10月17日 20時
