28、自慢の後輩と無意識 ページ28
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Aは私の自慢の後輩。
Aがふらりと席を立った。なかなかの酒豪タイプっぽい。だけどちょっと飲ませすぎたかな。
全然口調も顔色もいつも通りで気付かなかったけどアレは酔ってるなぁ。
「硝子ってAのこと気に入ってるでしょ。
この前も胸貸してあげたらしいじゃん。」
「当たり前だろ。Aは私にとって特別なの。」
学年としての後輩はいる。七海も伊地知もそう。
でも個人的に思い入れのある後輩はいなかった。
五条には七海がいて、夏油には灰原がいた。
私には誰もいなくてそれが少し寂しかった。
高専生の時は寂しかったけど大人になって考えもしなくなった。
そんな時にAが高専へ来てくれた。
「勉強熱心でなんでも自分でやろうとする姿が見てて心地良いんだよ。基本的には素直だし可愛いじゃん。…ね、七海。」
「私に振らないでくれますか。あと飲ませすぎです。」
「どれだけ飲めるか知りたいじゃん。」
そんな話をしていたらAが帰ってきた。
『…七海ごめん割れた。』
「割れた?」
差し出される鏡はバキバキに割れていた。
「まだ持ってたんですね。」
「なにそれ。」
『3年前に誕生日にもらったんです、めっちゃ気に入ってたのに…』
「…え、七海から?」
『…?そうです。』
3年前、会社で落として割れたのを見た七海が誕生日も近いこともあってシャ○ルで鏡と化粧品をプレゼントしたらしい。
「また買えばいいじゃん」と言う五条に「七海がくれたからお気に入りだったんですよ!」とギャンギャン吠えていた。
七海がプレゼントねぇ……
紳士だからプレゼントとか送りそうだけど、特定の女性に化粧品なんて送るか?
「…また買ってやれよ。」
「そうですね。」
Aの目に涙が溜まってポロリと落ちた。
それを七海が何も言わずに親指で拭ってあげる。
『あーショックすぎて死にそう。』
「大袈裟です。」
『使いやすくて重宝してたの。』
鏡が割れて酔いが覚めたのかまたお酒を飲み出したA。
そして眠そうにウトウトしては机に突っ伏してしまった。
「A寝たの?」
「寝ましたねこれは。」
「普段から酔ったら寝るタイプ?」
「いえ酔ってもしっかりしてるタイプです。今日は飲み過ぎです。」
「……それは無意識?」
Aの背中をポンポンと叩く七海。
少し照れて「無意識でした」と叩くのをやめた。
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さしす - とっても面白い!! 続きがきになる〜! 応援してます! (2022年5月26日 9時) (レス) @page49 id: 9bbdd85770 (このIDを非表示/違反報告)
森 - 作り込みエグいですね!いいなー! (2022年2月20日 14時) (レス) @page33 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - emiさん» そう言ってもらえてすごく嬉しいです!ありがとうございます。もうすぐ続編へと移行しますが、そちらでもどうぞよろしくお願いします! (2021年9月25日 11時) (レス) id: 1b6f6e5afa (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - このお話の雰囲気最高に好きです…七海と夢主ちゃんとの距離感も自然で素敵、時間がゆっくり流れてる感じがして読んでいると心が癒されます…お身体に無理のないよう更新されてください!楽しみにしております! (2021年9月25日 0時) (レス) @page43 id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - ぬぬ@とかげさん» コメントありがとうございます! (2021年9月15日 16時) (レス) id: 7ddd39ac99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くまこ | 作成日時:2021年8月27日 14時