同期の七海が突然会社を辞めた。【呪術廻戦】

46、意味と真意 ページ46

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「…口紅変えた？」

『よく分かりましたね、さすが。』




「おはよう」から始まる家入さんとの会話はいつも通りではなかった。



昨日帰ってからコスメショップの袋を開けると、鏡とは別に違う物が入っていた。

綺麗にラッピングされて「for you」と印刷されたリボンが巻かれていた。


私の選んだ物でも無いし、と思ってメッセージを送ったら「プレゼントです」と一言だけ返ってきた。



中には派手すぎず暗過ぎず。いい色味の落ち着いた口紅が入っていた。




『もらったんです。』

「よかったね、似合ってるよ。」




いつも同じような色ばかり選んで買ってしまう私にとって、新鮮で嬉しかった。


それにしてもやる事がスマート過ぎる。



昼過ぎ、七海と廊下をすれ違った。




『似合う？』

「………(可愛い)」

『まさかわかんないの？昨日プレゼントしてくれたの付けてるのに。』

「似合ってます。」




そのまま歩いて行ってしまった。
プレゼントしといてわかんないなんてね、家入さんなんか何も言わなくても気付いてくれたのに。



次にすれ違ったのは真希ちゃんと野薔薇ちゃん。

こちらはそういうのに敏感なお年頃。
すぐに口を揃えて「可愛い」「似合ってる」と言ってくれた。




『ありがとう、貰ったから付けてみたの。』

「彼氏から？」

『ううん、七海から。っていうか彼氏いないし。』

「…ふーん。Aさんって意外と鈍感だな。」




どういう事、って聞く前に真希ちゃんは野薔薇ちゃんの手を引いて走って行った。

全くどういう事………





*




「真希さん速すぎ……」
「口紅プレゼントする意味って知ってるか？」
「…唇奪いたい的な、キスしたいってやつですよね。」
「…Aさん気付いて無さそう。」





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