アドラブル・バランス 7【K.N】 (ページ24)

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204.ボロボロページ24

──『早く上司と別れてきて？』──

望月くんのその言葉を頭の中が勝手に何度も何度も再生させるせいで、何をしても離れない。

好きな音楽を大音量で聴いても、鞄を振り回しても、汚れちゃうのにパンプスを脱いで素足で歩いてみても。
何をしていても、気を紛らわすなんて無理難題だった。

どこに向かっているのかなんて今の私には愚問。
でも、どういう訳か自問自答をしてしまう。

── "私は今、何をしようとしているの？"

ピコン！とLINEの通知を知らせる音が鳴った。
誰からなのかなんて、そんなの見なくたって分かる。

『何を言えば良いのか言うね。
まずは別れを切り出す。
それから、その理由を言う。
ちなみに理由は「好きな人が居る」って。
あとはもう何を言われたとしても「ごめんなさい」って言ってね。
そうしたらきっと、上手くいくよ。』

...どうしてだろう。

「...うっ...ひぃ、ううっ...」

ここまで来て初めて、心がボロボロになっている事に気が付いた。

『Aちゃん。
悪いけど、君はもう俺のものだ。』

この現実から逃げ出しなくなってしまって。
さっきはポトリポトリと落ちていた涙なのに、今ではもうボロボロとこれ見よがしに落ちていく。

その理由は分かっている。

私は私が思っていた以上に。

......和也くんの事が好きなんだ。