アドラブル・バランス 7【K.N】 (ページ11)

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191.顔に出る。ページ11

『昨日の事で、今日ちゃんとお話をしたいです』

そんなLINEをもっちー君に送ったのは、翌朝の事だった。
朝早くにしてしまったから迷惑だったかな...なんて悩みはすぐに解消されて、数分後には返事が送られていた。

『今日の仕事終わりに会社の目の前の喫茶店でも良いかな？』
『大丈夫だよ』
『じゃあ仕事が終わり次第、連絡するね』
『了解です。私からも連絡します』

そう約束を取り付けて、いつものパンプスを履いた私はいつもの時間に家を出た。

・

それから仕事が終わるまでの間、私の頭を占めているのは言わずもがなもっちー君の事だった。

それは勿論、彼から受けた告白をどうやって断るのかという事。
正直、もっちー君からの告白は凄く嬉しかった。
高校時代、あんなに私なんかと仲良くしてくれて、再会してからもあの頃と変わらないまま、そのうえ想いを伝えてくれて。
実を言えば、嬉しい気持ちになった。

だけど、私には好きな人が居る。
好きで好きで、どうしようもない人が居る。

今の私には、もっちー君からの気持ちを受け取る事は出来ない。
それをちゃんと伝える必要がある。

でも、だからって、突き放すような言い方だけはしたくない。
あの頃からの想いを正直に伝えてくれた彼を、出来るだけ傷付けたくない。
だけどそんな器用な事、要領の悪い私が思いつく筈もなく、一日悶々としていたのだ。

「Aちゃん、どした？今日なんか暗くない？」
「そう、ですかね...」
「それオレも思った！」
「え、相葉くんまで...？」

夕方、あと数時間で仕事も終わる。
そんな時に、偶然休憩室で居合わせた智さんと相葉くんにそう言われてしまった。
...不味い。
顔に出てしまってたのかな。

「翔ちゃんも松潤も言ってた。『元気なさそうだね』って」

智さんのその言葉に少しドキッとする。
それだけみんなにそう思われていたという事は、もしかすると和也くんにもバレているんじゃないかって。

...なんて事が過ぎったけれど。

「まぁ、二宮さんは相変わらず飄々としてたけどねぇ？」

相葉くんのおかげで、ちょっとだけ安心した。