アドラブル・バランス 7【K.N】 (ページ2)

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182.社交辞令？ページ2

その後も相葉くんとはなんやかんやありつつも、手厳しい松本さんの鋭い視線を感じながらお互い仕事に全うし続けて。
気付いた頃にはもうお昼時で、他の社員さんたちもチラホラお財布を持ってランチに出ていた。

私もそろそろキリの良い所で終わらせておかないと、もっちー君を待たせてしまう事になる。
今更、連絡先を交換していなかった事に酷く後悔する。

「A」

せっせとお昼に行くための準備をしていた私に声を掛けたのは二宮さんだった。

「はい？」
「お前今日例のもっちー君と昼食べるんだっけ？」
「そのつもりですけど...何かありました？」
「いや、何もない」

「んじゃ」ってそのままオフィスを出ていった二宮さん。
何かよく分からないけど、とりあえず急がねば！

「高本、お昼行ってきます！」

相葉くんを含めて数人の社員さんたちに「はーい」と返事を貰った私もオフィスを出て、もっちー君が待ってくれている筈のロビーへと向かった。

・

ロビーへ向かうと、そこにはまだもっちー君は居なかった。
そう言えば、もっちー君は営業か何かでうちの会社に来てるのかな？
もし本当にそうだとしたら、会議が長引いたりする事はあるかもしれない。
さっきよりも余計に、連絡先を交換してない事に後悔の念がたつ。

このまますれ違ったりしちゃってたらどうしよう？とか、そもそもあれは社交辞令ってだけで本当にお昼を誘われた訳ではないとか？なんて悶々と考え続けていると。

「Aちゃん！」

数メートル先から、耳覚えのあるあの懐かしい声が聞こえてきた。

「もっちー君！」
「ごめん！待たせたよね？」
「ううん、平気だよ？」
「そう？それなら良いんだけど...」

ロビーまで走ってきたのか、息が切れつつあるもっちー君。
逆にここまで急がしたのかと思うと私の方まで申し訳なくなってくる。

「じゃあ、行こっか！」

そんなもっちー君の掛け声とともに、私のランチタイムは始まりを告げた。