177.信号待ち ページ27
私が知り合いと遭遇したからなのか、はたまた二宮さんの鬼の形相を見たからなのか。
高校生たちの私の腕を掴む強さは次第に弱くなっていく。
「こいつ降ろすのはオレだから」
パシ!と高校生の手を物凄い勢いで私から離して、今度は自分が私の腕を掴んだ二宮さん。
「クソガキ共は仲良くお勉強でもしてろよ」
最後の最後で、恐ろしい鬼の形相と荒い言葉を放った二宮さんに「ヒィ!」と喉を鳴らした高校生二人組は別の車両へと走って逃げていった。
「あ、あの二宮さん...」
「とりあえず降りるぞ」
「は、はい...」
私の腕をグッと引いて、駅に着いて止まった電車の中を早々と歩いて降りた。
そこからまた早々と歩いて改札口を通り、早々と駅を出た。
ちなみにその間、二宮さんは一言も何も発していない。
こ、怖すぎるんですけど......
「あのさぁ?」
「は、はい!」
二宮さんが漸く喋ってくれたのは、会社の前の横断歩道で信号待ちをしていたこのとき。
駅から数分間の間、本当に何も発していない。
「お前は弱々しくて自己主張が出来ない奴だとは思ってたけどさ」
「はい...」
「高校生相手に弱すぎんだろ?」
「...はい...」
「ビビりにも限度はあるんだけど?」
「す、すいませんでした...」
怖すぎて二宮さんの顔が見られない。
きっと今も、あの男子高生二人組に見せたような鬼の形相をしているに違いない。
そんなの見なくたって分かる。
「ホント...オレの身にもなってくんねぇかな...」
「...え?」
急に二宮さんの声のトーンが落ちた...?
そう思って恐る恐る顔を上げてみると、そこには眉を八の字にさせて困ったような表情をしている二宮さん。
二宮さんが...困り顔?
「あの...」
「A、お前はもうちょっと危機感を持て」
「はい?」
「...んだよ...高校生も相手に出来るとか必要ないポテンシャル持ってんじゃねぇよ...」
「...はい?」
困り顔をしながら嘆くようにそんな事をツラツラ言ってる二宮さんは、今までに見た事のない、キャラが不安定状態な二宮さんだ。
「あのね?A」
信号が青になった。
けれども、二宮さんは私の肩を掴んだまま動こうとしない。
遅刻しそうなの、この人分かってないのかな。
「お前は可愛いの!だから、男にはもっと気を付けなさい!」
......この人、道のど真ん中で何を言ってるの?
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早咲(プロフ) - 吉沢さん» 大好きと言って頂けて本当に嬉しい限りです!ノロマ更新ではありますが、これからもよろしくお願い致します★ (2017年2月28日 20時) (レス) id: e21b3fe696 (このIDを非表示/違反報告)
吉沢 - この、作品大好きです。 これからも頑張ってください! (2017年2月24日 8時) (レス) id: f6e11fac32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早咲 | 作成日時:2017年2月19日 23時