153.LOSS ページ3
どうしたら誤解を解く事が出来るのか。
頭の中はその方法を考える事で精一杯だった。
「今日の出勤もアレでしょ？大野さんが来るって言ってたからでしょ？」
「まだ来てないみたいだけど」って右の口角だけを上げて、嫌味のように言った二宮さん。
勘違いをして、勝手に話をどんどん進めて。
そんな二宮さんが悔しくて、言い返してやりたいのに何にも言葉が思い付かない。
「はぁ...まあ、良いけど」
溜息を吐きながら、呆れたようにそう零した二宮さんは何にも言わない私の側から離れようと体の向きを自分のデスクの方へ向けた。
その瞬間に私の頭の中で「ダメ！」とゆー信号が働いたのか、私は歩き始めようとした二宮さんのシャツの裾を掴んでいた。
「え...なに...」
目を見開いて驚く二宮さん。
勘違いさせたままじゃ、終われないから。
「...そうじゃなくて...」
「え？」
「智さんが来るから、じゃなくて...」
ここまで来て、もう後戻りなんて出来ないから。
「二宮さんが...」
「......」
「今日、二宮さんが出勤するって聞いたから...」
だったら、言ってしまった方が楽なのかもしれない。
「...だから私、今ここに居るんです...」
引かれた？
きも！って思われた？
もしも、そうならそうで良い。
ただ私は、私がここに居る本当の理由を伝えたかった。
「何だよ、それ...」
ボソリと呟く二宮さん。
それから私に掴まれていない反対の手で後頭部をワシャワシャした。
完全に嫌われた。
でも、それはもう仕方がない。
二宮さんのシャツの裾を離して、立ち上がる。
明日残業して、今日はもう帰ろう。
破裂しそうな心臓を押さえて、デスクの下に置いていた鞄を取り出す。
「...お先に失礼します」
今すぐにでも溢れそうな涙を堪えて、オフィスの出入口へと歩いていく。
あと少しだけ堪えてオフィスから出たら、たくさん泣こう。
それまでは、我慢。
「高本...！」
「......」
立ち止まっちゃいけない。
ここで立ち止まったら、私の負け。
だから、我慢。
「...A！」
「...っ...」
我慢、出来なかった。
私の負け、だった。
「まだ話は終わってねぇんだけど...」
涙が零れてしまった。
だって、名前を呼ばれたから。
立ち止まってしまった。
だって、後ろから抱き締められたから。
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早咲(プロフ) - 吉沢さん» 大好きと言って頂けて本当に嬉しい限りです！ノロマ更新ではありますが、これからもよろしくお願い致します★ (2017年2月28日 20時) (
レス) id: e21b3fe696 (このIDを非表示/違反報告)
吉沢 - この、作品大好きです。 これからも頑張ってください! (2017年2月24日 8時) (レス) id: f6e11fac32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早咲
| 作成日時：2017年2月19日 23時
