アドラブル・バランス【K.N】 (ページ6)

今日:4 hit、昨日:15 hit、合計:462,485 hit

6.翻弄ページ6

「よろしくね？高本...Aさん？」

ニコリと笑ってそう言った二宮さんは、私の肩をポンと軽く叩いて「オレ、櫻井さんとは違うからね？」って言ってまた笑った。

「よ、よろしくお願いします...」
「ンフフ。こちらこそ」

二宮さんの言う「オレ、櫻井さんとは違うからね？」とゆー言葉には、一体どんな意味が含まれているのかはまだ分からないけど。

きっと、二宮さんは

私にとって、記憶に刻まれるような

そんな大きな存在になる予感がする。

「じゃあ、あの！僕の上司さんは...」
「オレが勤めさせて頂きます」
「えっ、彫...」
「わわわっ、相葉くん...！」

恐らく、松本さんに向かって「彫刻」と言おうとしたであろう相葉くんを何とか必死に止める。

二宮さんと松本さんには、少し不審な目で見られてしまったけど、仮にも上司に向かって「彫刻」などと言ってしまって、この先ギクシャクしてしまうよりかは全然良い気がする。

「あ、ねぇ。高本さん？」
「は、はい？」
「オレさ、今日初めて本社に来たのね？」
「...そうなんですか」
「だから、本社の隅々まで案内してくんない？」
「えっ...！？」

「本社の隅々まで」って、二宮さん頭大丈夫なの？

この会社は所謂、大手企業って言われている会社。
それ故、会社自体をとんでもない面積の建物にする余裕があるのか、この会社はとんでもなく大きい。

そんな会社の造りを隅々まで案内するなんて...
......軽く半日はかかるな、絶対。

「案内...してくれるよね？高本さん？」

二宮さんと対面して、まだものの数分。
早くも、二宮さんが放つ何かしらに翻弄されかけていた私は、首を縦に振ることしか出来なかった。