アドラブル・バランス【K.N】 (ページ20)

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20.動き始めたものページ20

敏腕部下じゃないのなら、とにかくコキを使う。

良いじゃないですか。
効率が良くなりますもんね。
優秀な人には仕事を、私みたいな出来損ないには雑用を。
うん、納得です。十分納得が出来ます。

「...なんだけどー。今回の高本の見解はハズレ！」
「ハ、ハズレ...？」
「そっ。ハズレです」

なに？アタリとハズレがあるの？
そもそも、これってクイズだったの？
...ってゆーか、なに？この妙な残念感。

得意気な顔をして笑う二宮さんは、やっぱり思わせ振りなんだな、と無駄に再確認させられた。

「オレが高本のよく行く所を知りたい理由は...」
「......」
「...ちょっと待って、え？そんなに気になるわけ？」
「気になるに決まってるじゃないですか！仕事時間を割いてまでこんな事してるんですから！」

そう言い切った私を見て、「お前めんどくせー！」ってケラケラ笑う二宮さん。
いや、私としては二宮さんの方が面倒なんだけどな。

「まぁ、いいや。教えてやるよ」
「あ、ありがとうございます...」
「ンフフ。緊張しちゃってんじゃんか」

二宮さんの言う通り、いざ言うってなったときに急に緊張感が増してきた。
私にとって、その話がプラスになるのかマイナスになるのかはまだ分からないけど。

「高本にはさ、オレが分かる所に居てほしいわけよ」
「......」
「んー...分かんない？」
「分かんない、です...」

二宮さんが一体、私に何を伝えたいのか。
二宮さんは一体、何を思っているのか。

それらの事を察知する力は、私にはなかった。

「会いたいと思ったときに会えるってさ、大切なことでしょ？」
「そう、ですね...」
「それと一緒だよ。オレが高本のよく行く所を知りたい理由は」

ちょっと前まで感じていた、あの不思議な気持ち。

二宮さんのあの口の悪さと矛盾した態度に、一度は消えかけてしまっていたけど、そんなことを言われてしまえば、私の心臓はまたバクバクと動き始める。

...私、もしかして...二宮さんの事......