学校の十四怪談【！】 (ページ4)

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衝撃に瞑っていた目を開けると、一面「緑」だった。

布の感触からして誰かの服だろうかと離れて見ようとしたが、後ろに手を回されているようで動けないことに気づく。
しばらく何が起こっているのか分からず硬直していたが、冷静になっていくうちに「これはまずいのでは…？」と感じ始める。何がマズイのかは形容しがたいが、とにかく私の中の直感が警報を鳴らしている。
それなりに強く締めてきた腕のせいで動けなくない中、後ろに回された腕の締め付けがさらに強くなったのを感じて咄嗟に声を出した。

『あっ、あの！』

すると、腕はピタリと止まりその後すぐ解放された。
一歩下がって顔を上げると、そこにはどこか慌てた様子の緑のパーカーを着た男の人がいた。フードと廊下の暗さのせいで目元が見えず表情は分からなかったが、もごもごした様子の口からは八重歯が見え隠れしていた。

「あー…その、すんません…」

徐々に萎んでいく声で緑パーカーさんは謝罪した。
あなたは誰なのか、なんでいきなり抱きしめるような事をしたのかとか問い詰めたかったが、見ず知らずの人に問い詰める胆力も反省している(と思う)人に対して反省を促せるほど強靭な精神も私は持ち合わせていない。
そもそも、家の門限がとっくに過ぎていて内心大焦りしていたからそれどころではなかった。

『気にしてない…と言えば嘘になりますが、とりあえず今は家に帰りたくて………』

「あー、それなら僕、正面玄関までなら送っていきますよ？今かなり暗いですし」

『うーん、ここから正面玄関まであまり距離は無いですし別に…』

「こんな暗くて遅い時間なら幽霊とか出ても『やっぱお願いします』返事はや…」

なんたって幽霊(幻覚だと信じたい)を見た前例がある故、急に心細く感じて即答してしまった。

「よし、これで貸し借りナシやな。行くで、A」

緑パーカーさんは私の答えに満足したのか私の手首を掴むと歩き始めた。彼の手の力は強くて少し痛むけれど、鼻歌交じりに歩く彼の機嫌を害してはいけない気がして言い出す事ができなかった。
あれ、そういえば私の名前って…

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