OMI ページ33
さっきから立ち上がったり座ったりを繰り返してるけど全然思いつかない
グループとしてデビューして以来、初めて個人でアルバムを制作することになって楽曲作りに没頭している
歌詞は空想と現実が混ざりあった言わばフィクションの世界で考えるから自分の過去を思い返したり想像力を働かせたり頭が忙しい
その言葉を音に乗せてパズルみたいにぴったりあてはめないといけなくて、ものすごく大変な作業だ
朝からはじめた作業は煮詰まってきていた
しょうがなく何か飲み物を取りにキッチンへ向かった
無機質なステンレスのキッチン
水をグラスに注ぐ
「月……海……空……太陽……夕日……」
さっきから念仏の様にキーワードをつぶやいてるがいい歌詞が思いつかない
家のキッチンでいい歌詞なんて思い付くわけないと諦めて水を一気に飲み干した
だだっぴろいキッチンで俺は頭を抱えていた
そうそう下りてこない最高の歌詞を諦めてあの日の夜の事を密かに思い出した
目を閉じると暗闇に浮かぶあの夜のA
会えばきっとAから抜け出せなくなはず、と会うのを躊躇していた
だけど、締め切りがせまるこの作業に焦る
もしかしたらAに会えばいいアイデアが浮かぶかもしれない
この地獄のループから抜け出そうとAに連絡する事にした
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作者名:にーやん | 作成日時:2016年3月26日 23時