YOU ページ16
本当は自分が準備した花の様子を見なきゃいけないのに仕事そっちのけで私が釘付けになったのはもちろん臣くんだった
慣れたようにカメラの前に立ち、身ぶり手振りで思いを歌に乗せて歌いあげる様子を目の当たりにし、改めて自分とは違う世界に生きている人だと思った
一度だけこっちを見た気がする
だけどその目はすぐに違う方を見たから私の思い違いかもしれない
軽くウェーブがかかった黒い髪の間から見える目
はっきりと確認できるのはその高い鼻だけ
もう一度だけこっちを見てほしい
そう思うのはワガママなのかもしれない
朝から続いた撮影も終わりに近づき、足の痛みを感じる事で夢中で仕事をしていた事に気付く
あとは個人の撮影らしく私たちの花の出番も終わり撤収作業に入る
高山「なんかすごかったね」
一緒に撤収作業をしていた高山さんが少しだけ興奮しながら話しはじめた
無理もない
普通に生きていれば芸能人なんて滅多に見ることがないんだから
「ほんとすごかったですよね」
本心がゆえに自分がただの一般人だと気づかされる
高山「このあと飯行く?」
高山さんは仕事おわりにいつもご飯に誘ってくれる
「行きます」
高山「じゃー決まり」
今日はやっぱりまっすぐ帰る気分じゃない
ただただ酔いたい
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作者名:にーやん | 作成日時:2016年3月26日 23時