セレナーデ -恋歌-

俺の前だけ Hiroomi.T ページ18

俺の前だけ Hiroomi.T
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｢お前って泣かねぇよな。｣





『確かに。泣かないねぇ。』


｢なんで？｣


｢なんで？って、言われても…登坂さん？｣


少しおしゃれな個室のご飯屋さん。


わたしがフラれたと、どこからか聞いたのか
呼ばれて、勝手に凹んでいると勘違いしている模様。


凹んでません。←嘘ですけど。見せません。
そんな所。


おしゃれなグラスに入ったコーラをストローで啜りながらこちらを睨みつける登坂さん。



｢登坂さん？じゃねぇよ、なんで？って聞いてんの。｣


『泣いても…ねぇ、どうにもならないし』


｢だから泣かねぇの？｣


そう
言われても涙が出ないんだから仕方ない。


『泣く事だってあるよ？』

人間だし。


そう、私が言うと、今度はグラスを置いて、テーブルに両肘をついて、睨む臣くん。


｢最近、何で泣いた？｣


『最近…………あ！敬浩のソロアルバム！』


｢曲じゃん。しかも、それ、おめーを振った元カレだかんな。｣


『そうなんだけど…』

｢よく聞けんね、元カレのアルバムとか｣


『だって、買っちゃってたし、CDが可哀想だし。』


｢１人で聞いたの？｣


『隆二くんと。』


｢え？隆二と？！｣


『うん。たまたま来ててね、まだ聞いてないんだーって言ったら一緒に聞く？って』


｢隆二と？で、何したの？｣


『特典のDVDまで見て、お腹空いて、ご飯食べに行った。』


｢……やっぱ変だな。元カレのソロアルバム聞いて感動して、泣くって。｣


｢だって、以心伝心良かったんだもん。｣


『俺が言ってんのはそうじゃなくて。』

『いいじゃん、敬浩の曲聞いて泣けるって事は吹っ切れてるんだから』


｢え？そうなの？吹っ切れてんの？｣

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