それぞれのお話

娘離れF#9 ページ37

『ただいまー』



17年以上そう言って帰ってた



玄関にはローファーが2つ男用と女用



｢あっ！パパおかえり｣



そう言って迎えてくれたのは今年高2になった娘



｢お邪魔してます...｣



ペコリと頭を下げてきたのは背の高い男の子



いかにも高校球児って感じ



その2人はまた2階へと上がっていった



｢おかえりなさい｣



『なぁ、さっきの子誰？』



｢あ〜波瑠の恋人の遥輝君だってさ笑｣



遥輝？


『A、もしかして...』



｢初恋の人と同じ名前で同じポジションで同じ背番号なんだってさ。｣




波瑠は小さい頃から遥輝の事が大好きだった



その遥輝も今では二児のパパだ


｢遥輝君これ知ったら嬉しいって思うかな？｣



『嬉しいだろうよ...波瑠が産まれた時このまま嫁にしてやるって勢いだったし』




｢卓、ちょっとだけ複雑ね｣




『そうだな...親なのに遥輝に勝てなってのはちょっとな笑』




そろそろご飯だから２人呼んできてよとAに頼まれたので2階に上がる



部屋の前で聞こえてくる2人の会話


｢俺、野球選手あんな間近で初めて見たわ！波瑠のお父さんってよりやっぱずっと前から憧れの卓さんって感じだな｣




｢遥輝君は遥輝君が憧れなんじゃないの？｣



｢ちっさい頃はずっとショートやりたくて卓さんの真似ずっとしてたから｣



｢そっか、遥輝君がパパのこと憧れって言ってくれてすっごく嬉しいよ。パパは波瑠の自慢のパパだからね｣



｢俺もいつかは波瑠に自慢の彼氏って言われるように頑張んなきゃな…｣




『波瑠ーご飯だってよ、遥輝君も良かったら食べていきなよ』




ガチャと出てきた２人の手は繋がれていた


『波瑠先行ってAの手伝いしてて』



そう言って波瑠の彼氏と2人きり



｢あの、波瑠さんとお付き合いさせて貰ってます。西島遥輝です。波瑠さんとは1年ぐらいお付き合いさせて貰ってます。宜しくお願いします｣



『波瑠は俺に似て頑固やしAに似てどこか天然で付き合うのは大変だろうけど、これからもずっと波瑠の側にいてやって欲しい。いつか、同じグラウンドでゲーム出来たらいいな』




そう言うとナイスタイミングで準備出来たと叫ばれた



『堅苦しいのはなしだから一緒にご飯食おう』




｢はい！お義父さん！｣




お義父さんって言われて少しドキッとした




けどそろそろ俺も娘離れしなきゃならない時がきたようだ

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