16 ページ18
.
「Aちゃん大丈夫？」
『うん、ありがと』
「理子ちゃんもごめんね、こいつちょっとあほなの」
「う…ううん、助かったわ」
なんだか思ったよりも大ごとになりそうだ。
ちょんちょんと伊藤くんの腕をつついてこちらに意識を向けるも、その手を取られて驚いてしまう。
「どうしたの、ここ。怪我してんじゃん」
『え？あ…気付かなかった』
玩具のナイフなんだから切れるはずないのに。
理子が慌てて絆創膏を取り出し貼ろうとすると、さっきまで倒れていた貴志が目の前に立っていた。
「おいA、見せてみろ」
真剣な雰囲気を纏った彼を見て、先日のことを思い出す。
私が殴られたとわかって、貴志と伊藤くんがどれだけ怒っていたのかを。
『あ、大丈夫！すぐに治るだろうし、本当に平気だから！』
「…ちょっと忘れ物しちまったから取り行ってくる」
静かに飛び出した貴志。
ヤバイ。
本当に生徒さんたちが危ない。
「あーあー、あれはまじで怒らせちまったなぁ。
俺も許せねぇけど、三橋1人で十分だろ」
『ごっごめん伊藤くん！本当にこれは違くて…！
アイツ止めないと可哀想！！』
「ん？？どういうこと？」
説明はあと！
そう言って貴志を追いかけていくと、生徒さんたちの上にブルーシートをかけ、その上から鉄パイプを叩きつけていた。
『っ待ってストップ！！鉄パイプ離して！！』
「お願い三橋くん！やめてあげて！！」
「女の体に傷なんかつける奴なんか許さねぇ！！」
「いやお前さっき殴りかかろうとしてたじゃねえかよ！」
これ以上やってしまうと本当にヤバい。
『貴志！！』ギュッ
後ろから貴志に抱きつき、驚きからか動きを止めた隙に鉄パイプを奪い取る。
真っ赤になりながら固まる彼から離れ、生徒さんたちを守るように貴志の前に立った。
「っおま…！ななななにしてんだよ！？なんでそんな奴ら庇ってんだ！？」
『いいから！理子の話聞いて！！』
なんとかみんな落ち着き、理子がおずおずと口を開く。
その隣に立ち、一緒に頭を下げた。
「ごめんなさい！
その人たち、うちの生徒さんなの…」
「ほー？うちの生徒さんねぇ……うちの…生徒さん？」
「…どういうこと？」
「『…ごめんなさい』」
ブルーシートの下から、生徒さんたちのすすり泣く声が聞こえていたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れおすけ(プロフ) - りこさん» 金ローよかったですよね！！嬉しいコメントありがとうございます(о´∀`о)ちょっとずつですが進めていきますので、またよろしくおねがいします！！ (2021年10月14日 15時) (
レス) id: 62ab6277f9 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 更新嬉しいです！！！私は金ローで映画見てから今日俺に再熱です！！まじでかっこよかったです！とにかく更新嬉しいです！ (2021年10月13日 1時) (レス) @page36 id: 3171887382 (このIDを非表示/違反報告)
れおすけ(プロフ) - 瑠香さん» 感想ありがとうございます！同志がいてくださって嬉しいです！ (2020年9月7日 21時) (レス) id: 424d22639a (このIDを非表示/違反報告)
瑠香 - 作者さんの片桐さんの描写にキュンとしてニヤつきます。これからも更新楽しみにしております！素敵な文章を読ませて頂きありがとうございます！ (2020年9月6日 7時) (レス) id: 2176506463 (このIDを非表示/違反報告)
れおすけ(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます！がんばります！ (2020年8月23日 15時) (レス) id: 424d22639a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れおすけ | 作成日時：2020年8月10日 7時
