飛び蹴り ページ44
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手招きされているものの、別に素直に応じる必要はない。
頑なにその場から動かずにいた私を動かしたのは、たった一言。
「Aちゃんに岩ちゃんから伝言」
『っえ！？』
「「「「食いつき早ぇー…」」」」
烏野陣からの呆けた声にひとつ咳払いで応え、そういうことなら聞かないわけにはいかないと近づいた。
「じゃあちょっと、耳かして」
素直に従った次の瞬間、
ちゅっ
「「「「「っな"！！！」」」」」」
頬に感じた柔らかい感触。
数秒あけて、頬にキスをされたのだと理解した。
『ん、な……！？な、なにして…！』
「久しぶりに会った挨拶♪
あ、ちなみに岩ちゃんからの伝言はとくにないよー」
ごめんね！
なんて悪気なく謝る目の前の男に、羞恥やら怒りやら自分がテンパっていくのがわかる。
『…っ………！』
「…え！？そんなに照れてくれるなんて嬉し…ッダァ！？」
ドガッ
及川さんの言葉を遮るようにその頭にボールが激突する。
ボールの飛んできた方向を向けば、そこにいたのは投球後のポーズをした岩泉先輩がいた。
「おいクソ川、ちんたら何やってんのかと思えば……。
今なにしやがったクソ野郎」
「最後一文字も合ってないんだけど！！」
「クソで充分だべや！！ A、大丈夫か？」
先輩はキスされた頬をタオルで拭ってくれた。
まだ使ってないのだから安心しろ。
そう言いながら頬に当たるタオルはふわふわで、先輩からいつもする香りと同じだった。
しかも手つき優しいし、は、え、なにこれどんな状況？
「まーったく、岩ちゃんもAちゃんには甘々なんだから。
烏野にヤキモチやくくらいならはやく伝え…痛ァ！！」
ドガッと痛そうな音をたて、及川さんは脛を押さえてうずくまった。
その蹴りを放ったのはまぎれもなく岩泉先輩で、目をぱちぱちさせてると頭をぽんと撫でられる。
「ほら、今なら思う存分かましてやれるぞ」
『！……ふふっ、では遠慮なく』
及川さん、と未だうずくまる背中に声をかけると一瞬固まって立ち上がる。
満面の笑みでこちらを見た瞬間、少し先にいる及川さんに向かって走り出した。
「え、ハグ！？ほんとにどうし…フグゥ！！」
宣言通り、私はこのクソ川さんに飛び蹴りを喰らわした。
岩泉先輩直伝の制裁(物理)だ。
モロに入った鳩尾を押さえて震える姿を見て、ただ一言。
『次はありませんよ』
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れおすけ(プロフ) - ライチさん» 嬉しいコメントありがとうございます！また岩ちゃんとの両片想いを楽しんでください☺️ (9月11日 18時) (
レス) id: 62ab6277f9 (このIDを非表示/違反報告)
ライチ(プロフ) - コメント失礼します!!思わず一気読みしたのですが途中、『仁科ちゃんと岩ちゃんもう付き合えよ!!!』って夜中なのに思わず叫びそうになっちゃいました...ww続き楽しみにしています!! (9月8日 1時) (レス) id: b468f3d3be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れおすけ | 作成日時：2023年8月5日 2時
