坂ノ下商店 ページ29
・
練習がおわり大地先輩が肉まんを奢ってくれることを聞いた私は、一足先に着替えて坂ノ下商店に向かった。
ガラッ
『繋心くんこんにちはー』
店に入れば、いつものように煙草を咥えながら店番をしてる烏養 繋心がいた。
たまに混ぜてもらってる烏野町内会バレーチームの人。
こっちを見るとよお、と片手をあげる。
「よぉA、今日もピザまんか？」
『うん！あとでバレー部来るけど中華まんのこってる？』
「あるぞー、今日はバレー部の勝ちだな。ピザまんもできたてだ」
『よっしゃ』
いつもどこかの部活終わりの烏野生で売り切れる中華まん。
今日はバレー部が勝ったな…！
しかもできたてホヤホヤのピザまん…！
ガッツポーズするとバカにしたように笑われた。
『ちょっと、なんで笑ったのさ』
「別に？ただよく食うなぁと思っただけ」
『そりゃみんな、部活終わりの高校生だし』
「いや、お前のことな」
『なによー、いいじゃん別に。私だって球だししたりマネ業で動いたりしてるんだからね！』
「はいはい、食べすぎて太らないようになー」
『私食べても太らない体質だから』
「へー」
『聞いてきたのそっちのくせに！』
お互い笑いながら話していると、外が騒がしくなってきたのがわかった。
どうやらみんながついたらしい。
外にでて、大地先輩に中華まんが残っていたことを報告する。
ポンと頭に手を置かれた。
「Aはピザまんだよな」
『はい！ありがとうございます！』
店に入っていく大地先輩を見送って、スガ先輩へと視線を向ける。
なにやら真剣な表情をしていて、思わず声をかけてしまった。
『スガ先輩』
「ん？」
『まだ諦めてないですよね？』
目を見開いて驚く先輩。
口では影山が正セッターになることに異論はないと言っても、頭や胸の中では悔しさがあるはず。
『これまで見てきただけでも、先輩たちが全国を目指して一生懸命練習してきたことはわかります。私たち1、2年だって同じですし、みんな目指すのはやっぱりスタメンです。
先輩は影山に負い目を感じてるっぽいですけど、そんな必要まったくないですよ。
たしかに影山は才能ありますけど、スガ先輩には影山にないものがたくさんあるじゃないですか』
「…たとえば？」
どこか不安そうに聞いてきた先輩に、私は満面の笑みで続ける。
『約三年間、このチームで積み重ねてきた信頼と経験です』
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 483人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れおすけ(プロフ) - ライチさん» 嬉しいコメントありがとうございます！また岩ちゃんとの両片想いを楽しんでください☺️ (9月11日 18時) (
レス) id: 62ab6277f9 (このIDを非表示/違反報告)
ライチ(プロフ) - コメント失礼します!!思わず一気読みしたのですが途中、『仁科ちゃんと岩ちゃんもう付き合えよ!!!』って夜中なのに思わず叫びそうになっちゃいました...ww続き楽しみにしています!! (9月8日 1時) (レス) id: b468f3d3be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れおすけ | 作成日時：2023年8月5日 2時
