深愛 〜凛とした強さで〜 ４

＊189＊ ページ42

−広臣side








電話に出たきり、なかなか戻ってこない隆二。



(なんかあったのか…？)








開けっぱなしのドアの隙間から見えるヤツの後ろ姿が気にかかり、



広臣「…ちょっとトイレ(^^)」



お手洗いを装って様子を見に立った矢先…








隆二「……」



…無言のまま、リビングへとヤツが戻ってきた。









どこか青ざめた表情…。



広臣「…どうした…？」



隆二「臣…やばい…」



広臣「えっ？」








隆二「まどかが…まどかが…危ないっ…！」



広臣「…！？」








ひどく動揺し、身震いするヤツの姿。



俺自身も平静さを失いかけていたが…








‘俺まで焦ったら意味がなくなる’



…咄嗟にそう判断し、



広臣「…落ち着け。誰だったんだ？今の電話…」



必死に理性を保ちながらヤツに訊ねた。









隆二「…まどかを傷つけてた男。居場所が見つかって全部バレた、って…。俺と連絡取ってたことも、俺がまどかに会いにシェルター行き来してたことも全部…！あいつ、電話の向こうで悲鳴上げてた…。今俺が行かなかったら、あいつ…なにされるかっ…！」



広臣「……！」








まどかちゃんが絶体絶命の危機に晒され…



だけど今、俺らの後ろにはAがいる。



(…どうすりゃいいんだよ…)








事態が混乱の渦に巻き込まれる最中(さなか)、



重々しく口を開いたのは…








A「…行って」



…彼女だった。

＊190＊→←＊188＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す