113:side H ページ13
・
「隆二さんも。」
朱里さんは…隆二に、飴を一粒差し出した。
「味見してみて下さい。」
「味見?」
「はい。喉には、とても効くんですけど…味が、独特なので。」
「へぇ…」
「もし大丈夫なら、次回お会いする時にお持ちします。」
「ありがとう♪」
幸せそうに、掌の飴を見つめている隆二。
後で、どんな顔をするのか…ちょっと、楽しみ。(笑)
・
「朱里さん。本当、ありがとう。」
靴を履き終えた直人さんが、朱里さんの方へ振り返った。
「こちらこそ。本当に、楽しかったです。」
「よかったら、また食事に行きましょうね。」
「私でよければ、是非。」
「当然です! 朱里さんだから、お誘いしてるんですよ?」
「………はい。」
茶目っ気たっぷりに、朱里さんの顔を覗き込んだ直人さんへ…少し顔を赤らめた朱里さんが、応える。
そんな、彼女の表情に…胸の奥が、音を立てた。
「それじゃあ、また!」
「朱里さん、またね!」
「直人さん、隆二さん、いってらっしゃい。お気をつけて。」
「「いってきます!!」」
二人は…
キラキラした笑顔で、朱里さんに手を振ると…サッサと玄関を出て行った。
「登坂さん…?」
玄関から、動かない俺を…心配そうに覗き込む、朱里さん。
彼女の両瞳を、見つめ返した瞬間…胸奥からせり上がってくる衝動を、抑えきれなくなった。
「登坂さん⁉」
腕の中に閉じ込めた、朱里さんの身体は…固まったまま。
そりゃあ、そうだよな。
突然過ぎて…戸惑うのは、当たり前。
何より……俺自身が、一番驚いてるんだから。
「登坂さん……あ、の…」
「ありがとう。」
「えっ…」
腕を解いて、朱里さんを見つめる。
「感謝の、ハグ。」
「感謝の、ハグ…」
「そう。昨夜も今朝も…飯、超美味かったし。泊めてもらって、シャワーまで。めちゃくちゃ、お世話になったからね。」
「そんな…」
「初めて、七人で並んで寝られたのも楽しかったし。感謝してます。」
「いえ…」
照れ臭そうに、俯いてしまった朱里さんを…可愛いと思った。
「ELLYと岩ちゃんのこと、お願いします。」
「承知致しました。」
深く下げた頭を上げたら、朱里さんと目が合って…二人して、笑った。
・
48人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愁(シュウ)(プロフ) - 実際に、何回か呟いてみたくらい。(笑) でも、関西弁でお困りの時は、いつでも言うて下さいね!o(^-^)o(笑) (2018年5月24日 22時) (レス) id: 2a9117ff92 (このIDを非表示/違反報告)
愁(シュウ)(プロフ) - 舞花さん» 遅くなって、すみません!m(_ _)m そんな事、ないですよ。関西人以外の方には、そう聞こえてるんか…って、新たな発見があって、楽しいんです。(^-^) 例えば…「おん。」っていう返事。実際は、「うん。」って言うてるはずやけど、そう聞こえてるんか…って。(^-^) (2018年5月24日 22時) (レス) id: 2a9117ff92 (このIDを非表示/違反報告)
舞花(プロフ) - おはようございます♪愁さんの呟きを読んで『あー、私の書く関西弁きっと関西の方が読んだら違和感ありまくりなんだろうなー』と思ってしまいました。関西弁、教えて欲しいです(笑) (2018年5月12日 9時) (レス) id: 06beefc88f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:SHU
作成日時:2017年11月17日 0時