まさかの ページ9
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リハの休憩中です。
今日は春特有のあの急に暑い日。
……。
吉野が静かです。
めっちゃ珍しい。
もう珍しいを超えて大丈夫かってなりますよね。
「吉野」
「なんですか、?」
息切れしてる。
そんな動いたっけ?
「……しんどかったら早めに言いなよ」
「全然大丈夫ですよ、(笑)」
いや笑えてないし。
ホントに大丈夫か、こいつ……。
この時ちゃんと止めておけばよかったと後悔することになるとはまだ知らなかった。
静かな吉野に不信感を持ちながらも、リハは再開された。
吉野は私の斜め前に立って軽く踊りながら歌ってる。
めちゃくちゃ息切れしてて、なんなら途中わかりにくーくお腹抑えてるし。
ボーカルってさ、お腹とか胸とか手添えて歌うじゃん?
そん時ね、ちょっと強めに抑えてる気がするんだよね。
……今止めなくて大丈夫?
ホントに後悔しない?
でも気の弱い私は声をかけることが出来なくて、結局そのままになってしまった。
しばらく歌って踊ってを続け、パフォーマーショーケースを想定したリハになった。
吉野をチラチラ見ていると、俯いて、蓋のあいたペットボトルを見つめている。
……いや飲めよ。
全然減ってないじゃん。
「休憩でーす」
LIKIYAさんのその言葉で、みんなはぐだっとし始める。
と、その時。
「っ、吉野、?!」
吉野は壁に寄りかかってしゃがみ込んだ。
「、吉野?大丈夫?」
「っ、はぁっ、」
呼吸が上手くできてない。
背中をさすると感じる、異常なほどの熱。
これはやばい。
こんな熱感じたことない。
「LIKIYAさん、体温計お願いします、!」
「あ、うん、!」
よく見ると吉野は汗をかいてない。
あんだけ動いてあんだけ歌って、汗をかかないはずがない。
とりあえず私のタオルのできるだけ綺麗なところを吉野の口元に当てて、呼吸を整える。
過呼吸は頑張って息を吸おうとしちゃいけないってなんかで言ってた。
「はぁっ、けほ、」
「吉野、水飲める?」
荒い息で、力なく横に首を振る吉野。
スポドリが入ったペットボトルを吉野の口元に持っていっても顔を背ける。
そして、あっつい、とついには倒れ込んでしまった吉野。
どうすればいいんだろう、
どうしよう。
どうしよう……。
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作者名:L | 作成日時:2020年4月19日 18時