悪夢再び ページ17
.
私はすっかり忘れていた。
私には常に危険がついている。
すっかり忘れてた。
悪夢再び……。
「……何を言うてるんですか」
「ごめんなさい」
「まぁ俺らも忘れてたんよろしくなかったですけど」
「ごめんなさい」
「注意力が足りなかったね。まぁ間空いてたからしょうがないよ」
「ごめんなさい」
「……。」
「多大なる御迷惑をおかけ致しまして大変申し訳御座いません」
今のところ海青の睨みより吉野の無言が一番怖いです。大優勝。
リーダー2人が優しい。とても優しい。泣きそう。
「……てかよくスリボあんな暗い道来たね」
「あぁ、北人がな、こっちの道は暗くて星が綺麗やー言うたから」
「どこまでもロマンチスト、……ごめんなさい。」
「……。」
「さ。気持ち切り替えてご飯食べよ〜」
LIKIYAパパのその声で、張り詰めていた空気が一瞬で緩んだ。
と、その瞬間、吉野が私に抱きついてきた。
いつもは力加減を考えずに飛びついてくる吉野は、私が怪我人だからなのか、いつもとは比べ物にならないぐらい優しかった。
……でもそろそろ麻酔切れてきたよ。
「どしたの」
「……俺知ってた」
「……、？」
「Aさんの変な性質」
「変な……、自覚はあるけど」
なんで知ってんだろ。
誰にも言ったことがなかったはずなんだけど。
「分かってて守れなかった、……」
「吉野が落ち込むことじゃないでしょ。危機感なかった私が悪い」
「……でも、」
「でもじゃないの。吉野がいつものロマンチスト発言してなかったら私多分死んでたよ？」
「……。」
「ありがと、助けてくれて」
「……、俺の何もしてないよ」
「したの」
でもほんとに、あの時吉野がロマンチスト発言しなかったら、私どうなっちゃってたんだろう。
そう考えると、あの男のことを思い出すと、なんか怖くなってきた。
「……Aさん、？」
「んぇ、？どしたの？」
「……男怖い？」
「っ、別に、そんなことないけど、」
「じゃあなんで手ぇ震えてんの？」
吉野はパッと私から離れて、両手を握った。
そうじゃないんだよ。
問題は君の後ろにいるイカつい男たち……。
「……ごめんなさい、今日やっぱりご飯いらない、」
吉野の手をできるだけ優しく振り払って、私はリビングから逃げた。
メンバーは何人か顔を見合わせていたなんて知らない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1676人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：L
| 作成日時：2020年4月19日 18時
