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悪夢再び ページ15

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見つけてくれたまでは良かった。

男は見つかったことに危機感を感じたのか、ポケットから折りたたみ式のナイフを取り出して私に向けた。



「近づいたら刺すぞ!」

「「「っ、!」」」

「(……いや。ドラマか。)」

「(あ、Aさん絶対今深刻に考えてない)」

「(一緒にEX FIGHTでキックボクシングとかやっとけばよかった、!)」

「(どどどどうしようっ、Aさんがっ……!)」



えぇ、どうしようかな……。

チラッとスリボを見ると、壱馬と目が合った。



「(け、い、さ、つ、)」



口パクでコソッと教えてくれた。

小さくて分かりにくかったけど、確かにそう言っている。


私は常にマナーモードになっていて、電話のアプリのキーボードを押しても音はならない。

壱馬は多分それを使いたかったんだろうな。


暗い道。男の意識はスリボに向いている。

ナイフの向きもなぜかスリボに変わっている。



今しかない。

私しかできない。



ゆっくりとスマホをポケットから取り出し、バレないように男をチラチラ見ながら警察に通報した。

一応、音量がゼロになっていることを確認して。


警察に電話して、位置情報を逆探知してくれるってテレビでやってた。

それに賭けるしかない、よね、


……繋がった、!

事件ですか?事故ですか?のやつ!()

音しない!よかった!



「おい、なにやってんだよ、!」



あ、オワッタ。

画面に夢中で、男のこと忘れてた。

男はナイフの向きを私に戻した。


え、どうしよう!

チラッと壱馬に視線を向けるけど、今度は何も言えないらしい。

電話切れないし……。


……あ、投げる?

バキフォンデビューしちゃう?


でももうこれしかないよね。


なるべく低い木がある場所を見つけようと、周りを見渡す。

そんな間にも、男はジリジリ近づいてくる。

おぉ、待ってよ、来ないでー、……。



……あった、ちっちゃい木、!

一歩間違えたらバキバキ。それどころかわんちゃんデータ吹き飛ぶ。



覚悟を決めて、通話中の画面を開きながら、小さい木に向かってスマホを投げた。



「「「っ、?!」」」

「?、何してんだよ、!」



そこからはもう全てがスロー。





男がナイフを私に向けたままこっちに向かって走ってくる。

そんなに距離ないけど。



パッと動いた私の右腕にナイフが掠めた。

その瞬間、スリボ総出で男を抑える。



遠くから聞こえていたパトカーの音が、どんどん近づいてきた。









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作者名:L | 作成日時:2020年4月19日 18時

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