彼とわたし。3《黄》 (ページ45)

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翔太くんページ45

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行ってらっしゃい、と彼を見送った、平日の朝。

今日は、仕事は休み。

家の掃除をひと通りしようと意気込んでいる。

リビングの掃除がひと通り終わったあと、

寝室でシーツを剥がそうとベッドサイドに寄れば

見覚えのある、スマートフォン。

…照くんのじゃん、

忘れるなんて、珍しいな、どうしよう。

今日は夜まで仕事だと言っていた。

無いと困るだろうし、届けた方が、いい、よね。

悩んだ私は、自分の連絡先に入っている

深澤辰哉

の文字をタップして電話をかけることに。

数コールして、すぐに繋がった電話。

「もしもーし、Aちゃん？」

『あ、もしもし、すみません朝早く』

「全然、どした？照なんかあった？」

『えっ、あ、』

真っ先に照くんの心配をしてくるところに、

うわぁ…いわふかだ…なんて、尊さを感じる。

なんて、そんな場合じゃなくて。

『あ、照くん、家にスマホ忘れちゃってて。

届けようかと思って、でもどこ届ければいいか

わかんなくて、どうしようと思って

深澤さんに連絡をしたんですけど…』

「ほー、めずらし。

おっけー、んじゃ位置情報送っとくから、

来る頃に俺か照が出てくるようにするわ。

Aちゃん、電車だよね？」

『あっ、そうです、ありがとうございます。

お願いします。』

なにせ、私と照くんが付き合っていることは

メンバーしか知らないから、

身内のフリをすればいいのでは、とも思ったが

スタッフさんや警備員さんに手渡すことも出来ず。

他のメンバーには、

現場で遠くから見る以外では会ったこともない。

届けると決まったら、準備しないと。

一応のために、しっかりめにメイクを施し

準備をしていれば、位置情報が送られてきた。

見てみると、電車と徒歩合わせて1時間ほど。

帰ってから家のことは、すればいいか。

自分の荷物と、照くんのスマートフォンを持ち

家を出た。