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寒い夜 ページ37

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職場を出ると、冷たい風が肌を撫でる。





気づけば、

照くんと過ごす初めての冬がやって来ようとしている。




寒くなってきたなぁ、と少し身体を震わせながら

電車に乗って最寄り駅に。





改札を抜けると、覚えのある人影が見えた。




あれ?と思ったと同時に、

向こうも私に気づいた様子で、笑顔になる。






「おつかれ、」






『お疲れ様、、なんで、?』






「え、なんでって、迎えに来た、」





当たり前の顔をしてそう言う照くんを見ると、

少し嬉しくて、思わず頬が緩む。





「てか、寒くない?めっちゃ薄着じゃん、

ダメじゃん女の子が身体冷やしたら、」





照くんの口から時々出る、

“ 女の子 ” っていうワードが、嬉しかったりする。





肩を抱かれて、外なのに照くんの温もりと

香りが近くにあって、なんだか落ち着かない。






『昼間暖かかったから、、

でもやっぱ夜は冷えるね』




「迎えに来てよかった、風邪ひいちゃう」





その言葉の後に、あ、そう言えば、と

思い出したように、小脇に抱えていた

私のお気に入りの厚手のストールをかけてくれた。




『持ってきてくれてたの?』




「Aのことだから、もしかしたら、と思って。

やっぱ持ってきて正解だった」




照くんに抱きしめられていたそれを羽織れば

途端に暖かくなった。



『ふふ、あったかい』





「俺が温めてたからね」





『ありがと、』




「ん、帰ろ、」





そう言い、私の手を引いて歩き出す。





どこまで献身的なのだろう、と

繋がれた手を握りしめて、感じながら家に帰った。

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作者名:39 | 作成日時:2021年9月26日 22時

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