教えて、先生。 (ページ7)

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｢…実は、｣

イェソン先生は、何を打ち明けても優しく聞いてくれる気がした。
私は、あの嫌な思い出を話した。
昔からよく頭痛だとかが酷くなること。
心配をかけたくなくて、仕事人間の父親にはそのことを話していなかったこと。
保健室に行く度、嫌味を投げかけられたこと。
痛みは今もなお酷くなりつつあるということ。

彼は静かに話を聞いてくれた。
一通り話し終わって息をつくと、先生は言った。

｢確かに前の学校ではそうだったかもしれない。
でも、ここではそんな心配をしなくていいよ。
先生はいつでもAさんを迎え入れるから。｣

｢…はい｣

優しい、優しい言葉。
他人にそんな温かい言葉をかけられたのは、初めてのことだった。
それはまるで、自分の心に染み渡るようで。

｢無理しないで。辛い時はいつでも来なさい？｣

それをきっかけに、私の頬を温かいものが伝った。
いつの間にか涙が流れていて。

え、なんで。

先生は目を丸くしていた。自分でも驚いた。
だけど先生は深く聞かず、優しく背中をさすってくれた。
すると余計に涙が溢れて。
止めたくても止められずに、必死に目を擦った。

＊＊＊

ようやく落ち着いて涙が止まると、先生は背中を優しく叩いた。

｢今は多分2時間目の途中だと思う。行ける？｣

｢…はい、大丈夫です。頭痛も治りました。
なんだか色々とすみませんでした｣

｢なに、謝るようなことしてないでしょ～。
元気になったなら良かったよ。じゃ、行ってらっしゃい！｣

｢…行ってきます｣

毛布を払いのけてベッドを降りると、先生はにっこり笑いながら手を振った。
少し照れくさいけど、私も振り返す。
そうして私は保健室を後にした。

先生が撫でてくれた背中は、まだ温かかった。

教室に戻ると、案の定授業の最中。
授業といっても、プリント・教科書の配布や連絡だけらしかった。

｢おいA、大丈夫かお前～。具合が悪くなったら無理するなよ？｣

ヒチョル先生が小走りで近寄ってきて、背中を豪快に叩く。
イェソン先生とは大違いだ。

｢大丈夫です、心配させてしまってすみません｣

｢それなら良かったけど。｣

そそくさと席に座る私に、エリが声をかけた。