教えて、先生。 (ページ36)

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「誰か誘って、とは言ったけどさ…
よりによって、なんでチャニョルなの！？」

駅前にて、エリが悲痛な叫びをあげた。

「なんだよエリ、俺じゃ嫌かよ！」

不満そうに唇を尖らせるのは、A組ダンス部のチャニョルくん。
その横で呆れた表情をしてるのは、ベッキョンだ。

「嫌だよ！だってチャニョルいちいちうるさいし、ちょっかいかけてくるし！小学生かっつの！
1年でダンス部なら他にもいたじゃん、ギョンスくんとか、チェンとか！」

「ギョンスはムリムリ、あいつ人混み大っ嫌いだから。それにチェンは彼女いるし」

「あ、そうだった…」

エリとチャニョルくんは幼稚園の時からの腐れ縁で中等部3年までずっと同じクラスだったらしい。
私からすれば、喧嘩するほど仲がいいとはまさにこのことだと思う。

「今更文句言ったってしゃーねーだろ！皆もう予定埋まってたし、暇そうなのチャニョルだけだったんだよ」

「おいコラ、俺が可哀想な暇人みたいに言うな」

「え、ほんとのことじゃん」

「ハァ！？」

仲睦まじくじゃれあう３人。
途中から転入してきた私と彼らには、見えない壁がある気がした。
それが少し寂しく感じたり。

「ちょっと、なにぼーっとしてんのA！きちゃったもんは仕方ない、思いっきり楽しも！」

「そうだそうだ！」

「くっそ何だよもう、俺が邪魔ものみたいじゃーん！」

エリに腕を引かれ、慌ててついていく。
背後からは、チャニョルくんの情けない声が響いていた。

＊＊

「うーん、どこから回ろうか…」

たくさんの人混みの中で、腕を組んで堂々と佇むエリ。
向こうにはたくさんの屋台が並んでいて、どれも目を惹く。

「やっぱお祭りといったら輪投げ、射的、くじでしょ！皆で楽しめるし！」

「えー、でも俺腹減ったー」

意見バラバラな2人。

「んー…Aは？どこ行きたい？」

「え！？うーん、そうだなー…」

急に話を振られてびっくりする。
ふと、頭の中に昨日の出来事が蘇った。

『お兄ちゃん、明日お祭り行ってくるね』

『お祭りかぁ、いいね～。楽しんできてね～』

『お兄ちゃんは行かないの？』

『ぼくは明日、別の約束があるから～』

『そっかぁ。お土産何がいい？』

『う～ん…お土産かぁ……あ、金魚さん。ぼく、金魚さんが欲しいなぁ。おっきな水槽で、のんびり泳ぐ金魚さん、見てたら癒されそうでしょ～？』

花が咲いたようにぱあっと笑ったお兄ちゃんの表情は、今でも鮮明に思い出せる。