教えて、先生。 (ページ35)

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「ねえ！お祭り、行かない？」

「…へ？」

唐突に現れたエリの第一声が、それだった。

「へ？じゃないよー、夏といったらお祭りじゃん！」

「ああ…もうそんな季節かぁ」

色んなことがありすぎて、時間が経つのはあっという間だった。
入学式が、ついこの間のことのようだ。

「にしても、夏といったらお祭りって…それよりかは海とかの方が夏っぽくない？」

「や…あたし、今年海は無理。こんな体で水着なんか着れない！痩せなきゃ！」

「そう？」

全然太っているようには見えない、エリの健康的な体を眺めながら、私は言った。

「う～ん、でも、2人じゃちょっと人数が足りないかな。」

「え？いいじゃん、2人で」

「いや少ない少ない、祭りは人が多ければ多いほど楽しいんだってば」

なんだ、その妙なこだわりは。
変に熱くなっているエリに少し呆れながら、話を聞き流していると、聞き慣れた声が耳に飛び込んできた。

「A、あのさー」

「あ！丁度いいとこに来た！」

エリの目が輝く。
その言葉に目を丸くするのは、クラスメイトのベッキョン。

「なんだよいきなり」

「ベッキョン！あたし達とお祭り行かない？」

「…は？」

眉をひそめるベッキョン。
まあ、当然だ。いきなりお祭りに誘われるんだもん。戸惑うに決まってる。

「別にいいけど…なんで？」

いいのかよ！

「やー、人が足りなくてさー。でも、男子1人ってのもアレでしょ。誰かもう1人誘っといてよ。」

「あー、おっけ。」

「じゃ、詳しくはLINE送るわー！」

ひらひらと手を振るエリとベッキョン。
あまりにも軽い約束に、呆れてしまう。
ところでベッキョン、何の用があって私を呼んだんだろう。

「今うちらは華の女子高校生だからね！遊びまくってやる、ねえA？」

「はいはい…」

楽しみだねお祭り、と輝く笑顔で語りかけてくるエリを適当にあしらう。

ふと頭の奥で、イェソン先生と2人でお祭りを楽しむ姿を想像してしまう。
いや、無理無理！無理だから！
お祭りなんて人が多いとこで先生と2人っきりで歩いてて、もし知り合いに見られたら、どんなことになるか。
そう自分に言い聞かせながらも、少し残念に思う自分がいた。