教えて、先生。 (ページ26)

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それから数週間が過ぎた。
ダンス部の見学に行ったり、エリとますます仲良くなったり、私の学校生活は、思ったよりいいものだった。
ただ、私の心はほんの少しだけ、もやもやしていた。

「…お兄ちゃん」

「ん～？どうしたの、A」

呼びかけると、いつもみたいにのんびりした声で返事を返してくるお兄ちゃん。

「…ここ数週間、ずっと体調がいいの」

「わあ！良かったねぇ、Aが元気でお兄ちゃんも嬉しいよ～」

「…そうじゃ、なくって」

私の言葉に、お兄ちゃんは動きを止める。
優しそうに細めていた目も、徐々に丸くなる。

「…どうしたの？」

「今まで、こんなことなかったじゃん。体調はどんどん悪化するばっかで。
でも、最近ずっと何もない。奇妙なくらい。
なんか起こりそうで怖いの。」

打ち明けた。
そう、ずっと思ってた。
今までこんなこと無かったのに、なんでいきなり。
突発的な体の変化に、私は内心戸惑っていた。

「…そっか、不安なんだ。お兄ちゃんは、Aの体調が良くなって嬉しいけど…
自分の体のことは自分が一番分かるっていうもんね。…大丈夫だと思うけど、一応病院に行ってみようか？」

優しい言葉に顔を向けると、心配そうにこちらを見るお兄ちゃん。
ばっちりと目が合った。

「…っ、いや、そこまでじゃ、ないんだけどさ。ただちょっと不安だっただけ。
話してみたら楽になったよ、ありがとうお兄ちゃん」

「…そう？無理しちゃだめだよ～」

「うん」

お兄ちゃんは部活でいっぱい活躍してるし、今度コンテストに出るとかで忙しくしてる。
迷惑かけるわけにはいかないんだ。
まだ少しだけ心に残る不安、もやもやをかき消すように、私はお兄ちゃんに向かって笑顔をつくった。