教えて、先生。 (ページ3)

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私達の転校先は、家から徒歩10分くらいのところにある。
中等部と高等部が一緒になっているから、某ファンタジー小説の魔法学校みたいに敷地がとても広い。
韓国でも有名な学校で、部活動が盛んだとか制服がおしゃれだとかで、世の中学生からは憧れられているみたいだった。
きっと前の学校の子達は、私がこの学校に入学することになったって知ったら、羨ましがるんだろうな。
私は全っ然嬉しくないけど。

｢じゃ、A。頑張るんだよ｣

｢うん、お兄ちゃんも｣

ああ、お兄ちゃんとも別れちゃった。
不安で不安で仕方ない。
重い足を引きずりながら玄関へ行くと、貼り紙にクラス分けが書いてあった。

｢1-B、かぁ｣

見覚えのない名前ばかりが並ぶその中に、ぽつんと『キム・A』の文字。

｢って、クラスが分かったのはいいけど、教室どこ？｣

思わず口に出してしまった。
そうだ。初めて来たんだもん。1-Bの場所なんて分かんないよ。

どうしようもないから、誰かに聞こうと辺りを見渡してみた。
皆友達とともに玄関に入ってくる。
…すっごい話しかけづらい。

あ～もう、どうすればいいの…

既に泣きそ…いや、泣かない。全然涙出てこない。
私はこんなことで泣かない。うん。強いから。
そう自分に言い聞かせながらもあたふたしていると、思いっきり誰かにぶつかった。

｢ぎゃ！｣

醜い叫び声。ふみ潰されたカエルみたい。
結構な勢いでぶつかってしまった。

｢ご、ごめんなさっ…｣

慌てて顔を上げると、そこには。

｢…あ、こちらこそ、ごめん｣

ものすごいイケメンがいた。
同じ制服だけど、ネクタイの色が違う。先輩だろうか。
ぽかんと見とれていると、その人は再度口を開いた。

｢…見たことない顔だ｣

｢へっ？｣

｢転校生？｣

｢あ、はい、そうです｣

｢それなら教室わかんないでしょ。何年何組？｣

な、なんと…
このイケメン、気まで使えるのか!!

｢えと、高等部の1-Bです｣

｢え…先輩だったんですか｣

｢へ！？｣

ということは、この人後輩？
こんな色気醸し出して!?
これでまた中学生なんだ…信じられない。

｢すいません、タメ口使っちゃって。｣

｢いや、私も、あなたのこと先輩だと思ってたし…｣

｢じゃあ先輩、高等部はこっちです｣

｢ほ、本当にありがとう｣

｢いえいえ～｣

先輩とわかってからも、どこか彼はゆるい雰囲気で、私を案内してくれた。
彼は中等部だから、遠回りになるだろうに。
優しいなあ。