教えて、先生。 (ページ18)

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一週間が経った。
今のところ、体調はずいぶん良い。
たまにほんの少しだけ頭が痛むくらいで、前と比べたらとても良くなった。
元気そうな私を見て、お兄ちゃんも幸せそうだった。

｢この学校に転入して、環境がいい意味で変わったのが良かったのかな。とにかく、Aが元気なら、お兄ちゃんも嬉しいよ～｣

転入。そうかもしれない。それが良かったのかも。
自分でもよく分からないけど。
ただ、イェソン先生に会う機会が少なくなったことだけが、少し残念だった。

＊＊

｢あ！｣

昼休み、エリと廊下を歩いていると、聞き覚えのある声がした。
振り返ると、そこには。

｢スホ先輩！｣

｢こんにちは。偶然ですね。高校生活はどうですか？｣

｢あ、はい。すごく楽しいです｣

｢それは良かった。｣

彼と会うのは、ダンス部の先輩の面々がうちに来た時以来だ。
エリが怪訝そうな顔でこちらを見るので、小声でお兄ちゃんの友達だと伝えておいた。

｢ところで、今日暇ですか？｣

｢えっ？どうして？｣

｢ダンス部の見学に来て欲しいなって。｣

｢わ、ぜひ行きたいです！…でも私、邪魔じゃないですか？｣

｢そんな訳！皆Aさんに会いたがってますよ｣

｢えっ？皆って…高等部2年3年の方だけじゃなくて？｣

｢いや、それが…｣

先輩は苦笑しながら話し始めた。

｢イーシン…休憩時間は、口を開いたと思ったらAさんの話ばかりするんです。シスコンというかなんというか…
だから、会ったことがないメンバー達は皆Aさんに興味津々で。｣

｢そ、そうなんですか｣

もう、お兄ちゃん何やってるの！
喜んでいいのか、怒るべきなのか、いまいち分からない。

｢なんか恥ずかしいけど、行こうかな｣

私の返事を聞いたスホ先輩の顔が、ぱあっと輝いた。満面の笑みだ。

｢良かった！普段は多目的室Dで練習をしてるので、放課後そこへ来てください。待ってます！｣

それじゃ、と先輩は向こうへ歩いていった。
後ろ姿さえも爽やかだ。

｢…ねえA、随分イケメンに縁があるね｣

｢何言ってんの(笑)まあ確かに、お兄ちゃんの友達は美形揃いだったなあ｣

｢はぁ～、羨ましい。うちの姉と交換して欲しいもんだわ｣

額に手を当てて溜息をつくエリを尻目に、私は放課後が楽しみで仕方なかった。
お兄ちゃんの踊る姿を一刻も早く見たかったのだ。