ひとりぼっちな女の子と雪男 3 (ページ2)

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岩｢……とりあえず、みんなには連絡しといた｣

阿｢うん…｣

治療を受けているAちゃんを診察室の前で待つ。

『……ありがとうございました』

しばらく待っているとガラッと診察室のドアが開いて彼女が出てきた。

阿｢Aちゃん｣

彼女の前に立って目を合わせようとするけれど、微妙に彼女の視線がズレていた。

まだはっきりとは見えていないのかな。

そんな状態で歩いたら危ないだろうと思って手を差し伸べた。

『…っ』

阿｢！｣

岩｢…｣

でも俺の手を取ってはもらえなかった。

少しだけ震えている。
怖がっている、のほうが正しいのかもしれない。

『っすみません…』

阿｢ううん、ごめんね。いきなり怖かったよね｣

『ごめんなさい…』

阿｢大丈夫、気にしないで。とりあえず、あっちの椅子のところまで移動しようか｣

本当は少し……いや、かなりショックだった。

でも深く傷ついているのは俺じゃなくてAちゃんのほう。

大事な髪まで切られてしまったんだから。

『これは私の不注意なので』

阿｢でも…｣

『大丈夫です』

彼女はきっと、これ以上心配しないでほしいと思っているのだろう。

だけど俺には、一線を引かれているように感じた。

もどかしい。そんな線、すぐにでも飛び越えてしまいたい。

警｢立花Aさん｣

『！はい』

女性警察官に声をかけられたAちゃんは、そのまま警察署で事情聴取を受けることになった。

警｢ごめんね君達。彼女、少し借りてくね｣

阿｢あ、はい｣

岩｢どうぞ…｣

彼女を見送って、2人だけになる。