猫拾いました。【ybin】 (ページ9)

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in side

人間には心底うんざりしている
裏切り裏切られ
その対象は猫にだってなり得る
世の中ではペットを大切に、なんて標語出回っているけど
それを守っている人間はどれくらいいるのか、
もう人間が分からない

雨が降った日にダンボール箱に入れられた
最後に頭を撫でてあの人は去っていった
寒い。
道行く人達は俺を見てそのまま離れていく
そりゃそうだ、子猫な訳ではないから同情なんて生まれない
すっかり空は暗くなってしまった
あぁ、俺このままここで死ぬんだろうな…。
目を閉じ運命に身を任せた
段々と意識が遠くなる
その時、誰かが箱を持ち上げた
ついビクッとしてしまう

「あーごめんね、驚かせちゃった？」

優しい声のその人
薄目を開けて顔を見た

『…助けて、』

呟きは鳴き声となってその人に届いた
寒さに耐えられない俺はまた目を閉じる
その時遠くから俺の事を呼ぶ声が聞こえた

「…ぃ？けい！？」

目を開くとたった今助けてくれた人の顔がどアップであった
今の、夢か…
薮はそんな俺を心配そうな顔で覗き込む

「けい？どうした？」
『…いや、こっちのセリフですけど』
「だってお前、泣いてるし助けてって言うし…」
『え？…』

頬を触ると濡れた跡があった
今も視界がぼやけている

「けい？なんかあったのか？」
『…まぁね、』

冷たい態度をとってしまう俺
なんでこんなに冷たい態度をとっちゃうんだろう、

『言わなきゃダメ？』
「言いたくないならいいよ」
『じゃあ言わない』
「ん、でも無理だけはするなよ？」

薮の大きくて温かい手が俺の頭を撫でる
こんなにも大切にされたのはここが初めてだった