猫拾いました。【ybin】

#28 ページ28

yb side


『久しぶりだね、薮とここで買い物するの』
「そーだね、」

前2人で来たことのあるショッピングモールに足を運ぶ
懐かしいな〜、と呟くけいはもうキョロキョロしない

『今日何買うの？』
「んー、ちょっといろいろ、ね？」

周りの人の目は意外と気づく
道行く人はけいのことを見て噂にする
…なんか俺も指さされてる気がするのは気の所為だろう、
そんな人達に愛想を振りまいているけいを引っ張る

「いいよファンサービスしなくても」
『えー、だってめっちゃヒソヒソ話されるもん』
「いいの無視しておけば」
『わかった、てかたぶん薮も指されてるよ？』
「…たった今気の所為って片付けたのに、」
『まーいーや、薮のために静かにするね』

けいは言われた通り静かになった
…他の人に対しては、

『薮、次どこ行くの？』
「んーとね、新しいクッション欲しいなって」
『あぁ俺が薮から取りあげたやつ？』
「自覚はあるんだ、俺のだってことの」
『だってくたびれたクッションのほうがよくない？』
「…まぁ確かにあのクッション昔からあるけど、そんなにクタクタ？」
『うん、あれめちゃめちゃいいよ』

雑貨屋に行き新しいクッションとタオルを揃える
仕事道具も少し買い足した

「よし、帰るぞ」
『えーもう？どっか寄ろうよ〜』
「どっかってどこさ」
『んー、あれとか？』

指さす先にはパンケーキという文字
けいはすぐに俺を引っ張った

『行くぞ！』
「待て待て待て待て…」

半ば引きずられて最後尾に並ぶ
数分後、俺たちはパンケーキを味わっていた

『うんまぁ〜』

そう言うけいの顔はめちゃめちゃ溶けている

「そんなに喜んでくれるならいいや」
『当たり前じゃん今めっちゃ幸せだよ』

ふふふ、と笑うけい
この笑顔を手放したくない、と強く思った

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