猫拾いました。【ybin】 (ページ24)

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#24 ページ24

yb side

出張最後の日の夜、
久しぶりの1人だけの自由時間を満喫しようと出張先のホテルのベッドに身を預ける
殺風景な天井を眺めた
うわ、暇だな…

「…けいに電話しよ、」

身体を起こしスマホを手に取る
サッと操作するとあっという間にけいの顔がどアップで映る

『薮ー、元気ー？』
「元気だよー」
『ご飯食べた？』
「ちゃんと食べたから安心して」

嘘、
ここ暫くあまり食事をしていない
ゼリー飲料で栄養だけ取っている生活
偏ってるな…と我ながら思っている

「けいは？ご飯食べた？」
『食べてるー、光のご飯おいしいよ！』
「よかったなーけい、元気そうでなにより」

ぱぁ、と笑顔を見せるけいに元気をもらう

『明日帰ってくるんだよね？』
「そうだよ、ちょっとだけ残ってるのを片付けたらすぐ帰るからね」」
『待ってるからね、事故しちゃダメだよ？』
「分かったよ、安全運転ですぐ帰るね」
『うん、じゃあおやすみ～』
「おやすみ、けい」

電話を切りまたベッドに倒れる
目を閉じても全く眠れない
羊は何匹数えても途絶えない
諦めて上体を起こした
またスマホをいじる
いちばん古い画像フォルダを開いた

「もうすぐ5年か…」

画面の中で俺は笑顔を向けている
隣のやつは恥ずかしそうにピースをしている
ああそういえばカメラ向けられるの苦手なんだっけ、
思い出して少し笑顔がこぼれる
画面を消した
あっという間に部屋は元の暗闇に包まれた